「ブラジルには4種類も医療用処方箋があるのだ」 開業医のひとりごと 秋山一誠 月刊ピンドラーマ2022年9月号
日本では1日に25万人の新規感染者が出ているコロナ迷走生活の今日この頃ですが、24人の読者様は皆さんお元気にお過ごしでしょうか?ブラジルではコロナは今年の5~6月にピークがあった後、ちょっとだけ一段落した感じですね。毎度毎度コロナという言葉が出てきますが、これだけ現代の生活にインパクトのあった事態なので、話題になることは仕方ないです。コロナ禍で大きく変わったモノの一つにオンライン診察(註1)があります。遠隔医療なので、対面ではない処方箋や検査指示書、診断書が必要になってきます。日本の場合は、投薬が必要な場合は医師側から患者さんの近所の薬局に処方指示を出し、患者側はその薬局に出向くかお薬を配達してもらう方法がとられています。ブラジルの場合は、医者側が連邦政府に登録した情報を元に「certificação digital(電子認証)」なるものが発行され(註2)、その認証を「receita digital (電子処方箋)」に記載することで医師の署名となり、薬局や病院で正式な医療書類として通用する方法がとられています。
『処方箋に医師の署名が必須なのは当たり前なのだが、ブラジルの場合、官公庁をはじめ、何事も事務手続きが煩雑なので処方箋も例外ではないのだ。ブラジルでは医者が出す処方箋だけでも4種類もあるぞ。なぜ4種類もあるかと言うと、薬剤使用の規制の度合いで処方箋の書き方が違うのだ』
ということで、まず、当地の医療用処方箋の種類から理解していただかないと、電子処方の利用方法も不安になりますね。ブラジルの薬剤の認可と管理はANVISA(アンビザ、Agência Nacional de Vigilância Sanitária、国家衛生監督局)と呼ばれる保健省系のお役所が取り締まっています。したがって、医療用処方箋もここの管轄であり、1998年発令の「Portaria 344/98」と呼ばれる省令が法的根拠となっています。次の表に4種類の処方箋パターンを示します:
月刊ピンドラーマ2022年9月号
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