
「今のところ」 ポルトガル語ワンポイントレッスン リリアン・トミヤマ 月刊ピンドラーマ2023年9月号

「padaria(パン屋)」に行ったことがありますか?フランスパンを食べたことがありますか?私はフランスパンが大好きです。特に熱々のが。
フランスパンについて、米国人ジャーナリスト、マシュー・シャツ(Matthew Shirts)がヴェージャ・サンパウロ誌(Veja São Paulo)掲載のコラム「カヌー上のアメリカ人(Um americano na canoa)」の中で興味深いことを書いています。
「フランスパンは従業員から客の手に渡さなければならない。今日の多くの食品とは逆に、スーパーで売られるときでさえ事前に包装してはならない。この特別な取り扱いの必要性によって、フランスパンの生々しさと魅力が増すのである。フランスパンを手でつかむことは、サンパウロとブラジルの多くの地域で、社会的行為なのである。ブラジル文化、特にサンパウロの文化の一部なのだ」
今のところ、引き続きフランスパンがパン屋の従業員からお客さんの手に渡されているので私は嬉しいです。
ところで、ポルトガル語で「今のところ」をどう言うでしょうか?
「Por enquanto」です。
例文を見てみましょう。
①AとBが誕生日パーティーについて話しています
A: Quantas pessoas confirmaram a presença?
(何人出席確認取れた?)
B: Por enquanto 15 pessoas.
(今のところ15人ね)
②CとDが新しい就職先について話しています
C: Você está gostando do novo trabalho?
(新しい職場、気に入ってる?)
D: Por enquanto, sim.
(今のところね)
③EとFが事務所で話しています
E: Você já pensou no seu discurso?
(スピーチのこともう考えた?)
F: Ainda não. Por enquanto, estou pensando no tema.
(まだだよ。今のところはテーマを考えてる)
今月もお読みいただきありがとうございました。終りのはっきりしない時間(Por enquanto/今のところ)について話してきましたが、米国の人類学者マーガレット・ミードについての興味深いエピソードを共有したいと思います。ひとりの学生が、人類文明の最初のしるしは何だと考えるかと彼女に尋ねました。学生たちはみな、彼女が土器、砥石などについて話すだろうと思っていました。しかし彼女はこう答えました、「骨折して治癒した大腿骨」と。彼女の説明はこうです。他の動物の世界では、脚を骨折したら、危険から逃げることもできず、川へ行って水を飲むこともできず、狩りをして食べることもできず、死にます。ところが、折れて治った大腿骨が意味するのは、誰かが倒れ傷ついた者に寄り添う時間を取り、安全な場所に置き、回復するまで世話したということです。誰かを助けることが文明の出発点なのです。「誰かを助けるための貴重な時間が真の文明なのです」、と。
リリアン・トミヤマ(LILIAN TOMYAMA)
USP(サンパウロ大学)卒、ポルトガル語学・言語学専攻、ナンシー大学(仏)卒、フランス語学・文学の専門家でもある。
lilidomi@uol.com.br
www.pogotogo.blogspot.com
www.facebook.com/liliansensei
月刊ピンドラーマ2023年9月号表紙

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