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一次創作のキャラクターをイメージして香水を選んでいただきました。楽しいので皆やるといい。

推し香水というカルチャーをご存じでしょうか。人物やアニメやゲームのキャラクターをイメージした香水を主に指します。

ある程度大きなジャンルではイメージ香水が公式グッズとして販売されていることもありますし、それ以外にも個人でオーダーしたり、イメージに合致する既製品をレコメンドしてもらったりするサービスもあります。

なぜこのような前置きから入ったかというと、お察しかとは思われますが、やりました。推し香水の注文を。自作小説をモチーフにお願いして。

そして過程の数々が大変に楽しかったのでこうしてレポートをしたためている次第です。


利用させていただいたサービス

私が利用させていただいたのは、『Celes推し活』というサービスです。こちらは購入者のイメージに応じて既製品から合致するフレグランスをレコメンドしていただけるものとなっております。

何故そんなことを?

自作品の解釈を吸いたかったから……。

もう少し噛み砕きますと、他の方の解釈を通じてキャラクターの解像度を高めたかった&シンプルな興味本位です。

私の場合は自身の一次創作小説をモチーフに選んでいただいているため、基本的には私の頭の中にしか観念としては存在しないものなのですよね。それを一旦外に取り出して、客観的に眺めてみたい、という欲求がありました。

また、自力での調合やセミオーダーという手段があるなかで既製品からのレコメンドを選んだのは、ブランドや製品そのもののコンセプトも踏まえて「こういうのを選ぶのか~」と感じ取りたかったというものがあります。

こういう嗜好ですので、セレスさんには過去もお世話になっております。本当にありがとうございます……。

注文時の主な流れ

まずオーダーシートを書きます。何について?「すべて」について。

見出しの通りです。なんと文字数無制限なので、だいぶしっかり説明できます。とはいえ本当に「すべて」を記すのは困難かつ先方に大迷惑なので頑張って刈り込みます。その上で過不足のない説明を……となると結構な考えどころです。楽しいけれども頭をひねりました。

最終的には、元々作成していたキャラクター設定から性格傾向外見に関する部分を抜粋し、そこに本文中で人となりがうかがえる部分をいくつか抜粋して添えていました。

体感ですが、この「本文からの抜粋」は割と効果的かもしれないな、という手ごたえがありました。どうしてもプロフィールからはうかがえないニュアンスがありますので、権利関係上問題がない、要は一次創作でオーダーしようとお考えのご同輩は検討の余地アリかと!

具体的にはどう書いた?

以下のような内容をまとめてお送りしました。

  1. 概要

    • ジャンルとキャラクターの立ち位置(主人公、ヒロインなど)

    • 作品リンク

    • フルネーム

    • キャラクター自身の概略

      • 上記のジャンルと立ち位置が、表層的なラベリングだとすると、この項目ではもっとキャラクター自身をどうデザインしたかや内面に突っ込んだものを書きました。

  2. プロフィール

    • プロフィールの概略

    • 弱点(A)

    • 特技と欲望(B)

    • 人間関係(C)

  3. 外見とイメージ

    • イメージカラー

    • 髪と瞳の色

  4. 作中描写の抜粋

ここでの「弱点」「特技と欲望」「人間関係」は私が使っているキャラクター作成メソッドの項目まんまです。

人格形成上の弱点と、特技と欲望(これは表裏一体の要素なのでまとめてあります)、人間関係の中で他の何をおいても優先する人物の上位三名まで……と、割と人間性の芯を食った部分だなあと考えているので設定ファイルからそのまま引っ張ってきておりました。

外見については私自身にそこまで強いこだわりのあるものではないのですが、ある程度の見た目の要素も香水のチョイスには関わるかな?と思い、書き添えております。

あとはあればファッションの傾向など。私はヒロインの方だけ服装の趣味までしっかりめに書きました。作品中でも結構強調している部分だったので!

基本的にオーダー時にこちらからすることはこれだけです。後は送信して、おおよそ1週間くらいの期間をワクワクしながら、待ちます!この待つ時間も楽しいんですよね……。

届いた!嗅ごう!

届きました。嗅ぎましょう!やったーハッピーエンド!!基本的にはこれでオッケーです。

主な注文の流れは以上です。皆様にとって有益と思われる情報が書かれているのも……ここまでです……。


以下、私が実際にオーダーして届いた香水に関する感想レポートとなります。よろしければご笑覧ください。※注!長いです。

嗅いだ!……ワ、ワーッ!

まず主人公の方から。

恐れ入りますがキャラのざっくりしたプロフィールの説明から入らせていただきます。いきなりごめんね。でも後の展開の布石(?)なので……。すごい伏線回収が来るぞ!

彼は自作の長編ファンタジー小説の主人公です。前世が現代日本の社畜ですが、記憶は蘇ったものの人格そのものが塗り替わった訳ではない、あくまで価値観の大転換が起こっただけ……という塩梅です。

要は近世ヨーロッパ的世界で彼だけに近代的自我がインストールされてしまったというテイです。大変ですね。そんな彼の主な仕事はチートというには若干微妙な『他人の顔に成りすませる』という魔法を駆使して各種の裏工作や潜入調査をして所属する派閥のために働くことです。大変ですね。

そして肝心の香水に関しまして。選んでいただいたフレグランスはこちらになります。ミルコブッフィーニのオグです。

嗅いだ瞬間に思い浮かんだのは「なるほどね~!」でした。

ややヒリついた香辛料の香りから始まって、割とすぐに意外と丸みのある印象に変わっていくのが印象的でした。なんていうか、爽やかなスポーツマンとかが香らせる雰囲気ではない

これはインドア派……というか、普段は仕事に忙殺されていて休日にまで絶対に外出したくないし、自分の巣というかテリトリーしか安らげる場所がない人が書斎か寝室に置いているルームフレグランスなのでは!が、前情報なしの状態で嗅いでみての感想でした(おそらくはレザーのノートから家具ひいては室内を連想したのだと思います)。

その後、香調の説明やコンセプトを調べてみてびっくり。こちら、バスター・キートン主演の無声映画がモチーフになっているのだそうです。「誰かの顔に成りすましながらあちこちに潜入する」という造形のキャラクターの要素をこういう形で落とし込んでいるの、あまりにお洒落じゃないですか!?プロってすごい。

また、香水のレビューでは二面性というワードがそこそこ出てくるところも興味深かったです。改めて、要素の落とし込みがすごい……と今この記事を書きながら噛み締めてます。

次にヒロインの方も。

オーダーシートでは前述のキャラクター性に加えていわゆるクール系かつファッションセンスがシンプル&実用性を好む、のような要素も書かせていただいておりました。

また、戦闘向きでない主人公の代わりにバトル要素を担うポジションでもあります。私は本質的に獰猛な生き物が、自ら付いていくと決めた相手の隣でスン……と忠犬みたいな顔をしている光景が、好き!の気持ちを込めたキャラです。

選んでいただいたフレグランスはこちら。キリアンのコローニュ シールド オブ プロテクションです。

石鹸の香りだーっ!!

…すみません、香りに関するリテラシーがあまりないので、こういう言葉の出力になってしまいがちです。実際にはムスクやスズランなどの定番の石鹸っぽさというよりは、植物の香り、それも花に加えて葉や茎から立ち昇るような青々とした要素もある香りでした。

石鹸は石鹸でもオーガニック系のちょっとハーブっぽいもののイメージ。あとは清潔な湖に浮かぶあぶくとか、水辺の花というような印象もどこかに漂っているように感じました。いい意味ですっきりした、しかし決して素っ気なさはない香りです。

調べてみて知ったのですが、分類上はコロンのようです。そのせいかドラマティックな香りの展開があるというよりは、いい意味で安定感のある香りが続いていってふっとかき消える。そんな香り方をしていました。さばけている。

目元がすっきりしているタイプの、シンプルファッションを好むお姉さんがこのコロンを「たしなみですしね」という顔をして肌にしのばせるのって……非常にいいな!世界観が完成している!と大はしゃぎしました。

また、ボトルデザインがオーダー時に書かせていただいたイメージカラーとバチはまりだったのも非常にテンションが上がりました。こういう所からもキャラクターイメージに寄せる方法があるのか~!

嗅ぎ終えての感想

いや……凄かったです。香りからキャラクターを再解釈するのってこんなに自由度があるんだな、と改めて味わわせていただきました。

香り、その重なり方、色やデザインにコンセプトと、フレグランスの世界の広くて深い様の一端を垣間見た……ような気がいたします。

まとめ

私は創作税の中でもいわゆるドライとウェットでは完全にドライ寄り、ストーリーとキャラクターががっちり組み合わされたものを書きたいな、と思いつつ創作をしているタイプです。

なので、視点としては「キャラクターが『居る』」という感覚よりかは「あの文脈を香りで再解釈するとこうなるのか!」という形の咀嚼の仕方をしております。

設定その他を開示したうえで、どんな解釈が返って来るかを楽しむ、という向き合い方をしているのだと思います。それが、私にとっては未知に近い分野であればなおのこと興味深い!という気持ちです。

この記事が、こういった読み解きの部分を取っ掛かりにするのもまた楽しいです、というお誘いになれていたら幸いです。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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