証券投資の「利益」について考える

こんにちは。Pinanceです。

今回は、「証券投資への誘い」の第2回ということで、第1回の最後でも述べた通り、「利益」について考えていこうと思います。

※証券投資や投資という言葉、また買値や売値などの言葉を多用しますが、全て「証券」に関わるものだと考えて読み進めてください。

まず、証券投資に関わらず、「利益」とは何でしょうか。辞書で引けば、「儲け。得。収入から費用を引いた残り。」とあります。対義語は「損失」です。

では、証券投資では何がこの「利益」にあたるでしょうか。最後の、「収入」と「費用」という言葉を借りて、何がこの2つにそれぞれ当てはまるのか考えてみます。

まず、証券投資における費用には何があるでしょうか。言い換えれば、どのタイミングでお金を使うでしょうか。まだ証券投資の具体的な仕組みについては語っていないので難しいかもしれません。しかし、なんとなく「紙切れを買う」ことを理解している人は少なくないと思います。その「紙切れの値段」こそが証券投資の「費用」です。現実では、この紙切れの取引には専門の業者が仲介したりするため、いわゆる手数料なども費用に入ってきますが、一旦割愛します。

次に、証券投資における収入には何があるでしょうか。言い換えれば、どのタイミングでお金を得るでしょうか。答えは「紙切れを売る」ときです。つまり、「紙切れの売値」が収入になります。ただし、紙切れは自分が持っているから、売れるのです。つまり、この紙切れを売って収入を得るには、紙切れを買っておく必要があります。(特殊な投資で、空売りという手法がありますが、これについてもいったん割愛します)

さて、ここで証券投資における「利益」を考えてみます。費用と収入での説明の通り、証券投資においては、費用が発生した後に、収入が発生します。費用→収入の順番です。証券投資では、費用は「紙切れの買値」、収入は「紙切れの売値」ですから、利益は「紙切れの売値 - 紙切れの買値」です。とても単純ですね。

この利益のうち、お金を投じた時(実際に投資をしたその瞬間)に「分からない」のはどちらでしょうか。当然、「紙切れの売値」です。これが分からないので、投資をしたその瞬間に「利益」を知ることはできないのです。

では、人間は何を期待して証券投資をするのでしょうか。当然、「利益」です。利益が出ると思うから、資本を投じます。今、〜と思うと言ったのは、それが確実ではないからです。ここにも人によって差が生じることは明確です。「100円の利益が出ると思う」と思う人もいる一方で、「1円でも利益が出れば良い」と考えている人もいそうです。どちらが正しいかは、一旦置いておきましょう。

次に利益を構成する「紙切れの売値」について考えてみます。不思議な世界ですが、この「紙切れ」の値段は目まぐるしく変化します。どれくらいかというと、物にもよりますが、10000円だったものが1秒後には10100円になっていたり、100円のものが1秒後に200円になったりする時もあります。なぜこのようになるかも、一旦置かせてください。

上で述べたように、資本を投じている以上、何らかの利益を期待しているのは共通です。その利益の決定要因は「紙切れの売値」です。よって、

利益を期待する = 紙切れの売値を予想する

と言い換えることができます。今、1000円の紙切れを買ったとします。紙切れの買値=1000円の状態です。もしこの投資家が「100円の利益が出ると思う」と思っている人だったとすると、この人がこの瞬間に予測した「紙切れの売値」はいくらでしょうか。もちろん、「1100円」です。買値が1000円で、利益が100円ですから、売値は1000円+100円ないといけないので、1100円になりますね。

証券投資の利益 = 紙切れの売値 - 紙切れの買値

次に、もしこの投資家が「1円でも利益が出れば良い」と考えている人だとします。この人がこの瞬間に予測した「紙切れの売値」はいくらでしょうか。少し難しいですが、「1101円以上」だと考えられます。上の式で行けば、左側の利益が1円上になればいいので、買値を売値が1円でも上回れば、これは達成されます。

とりあえず、「紙切れの売値」を何らか予想することが「証券投資をする」ということだとイメージはつきましたか?ここで、証券投資の世界で使われる言葉をちょっと紹介します。

この予想される値のことを、「期待値」と呼びます。例えば、紙切れの売値が1100円だと予想される場合、「紙切れの売値の期待値は1100円」などと表現されます。別な例で、利益が1円でも上回ることが予想される場合、「利益の期待値は1円以上」などと表現できます。

期待値:期待する(される)値、予測している(される)値

だとなんとなく覚えておいてください。

※数学的な定義はあり、この表現方法で期待値とするにはあまりに雑すぎますが、そこは一旦目をつぶりましょう。

一方で、投資をしたその瞬間、「紙切れの買値」は確定している値です。これは期待値とは呼びません。なぜなら、予測している値ではなく、確定している値だからです。これを証券投資の世界では、「定数」と呼んだりします。

これまで出てきた「利益」「買値」「売値」を、以下のように分類してみましょう。

予測しなければならないもの:利益、売値

確定しているもの:買値

こうなりますね。ただし、売値を予測すれば、その期待値から必然と利益は導くことができます。一般的に、売値の期待値を E(売値) などと表現します。英語で、予測することをexpectと言います。このEだと覚えておいてください。よって、

E(利益)  = E(売値) - 買値

という等式が成り立ちます。数学的な表現が苦手な人はもちろん無視していい記述法ですが、こういった表現によって頭がすっきりとしてしますので、可能であればこういった表現には慣れていったほうが良いと言えます。

「利益」「売値」「買値」という言葉に何となくイメージを持ったり、性質の違いを把握することはできましたか?

次回は、皆さんがよく耳にするであろう、「リターン」や「リスク」といった言葉について考えていこうと思います。深く理解するために、今まで使用したイメージや性質を用いますので、できれば今回の項目と、前回の項目にもう一度目を通しておいてください。


〜まとめ〜

・「利益」は「売値 - 買値」である。

・「買値」は投資をしたその瞬間に確定する。

・「売値」は投資をしたその瞬間には確定せず、あくまで予測することしかできない。

・よって、「利益」は投資をしたその瞬間には確定せず、あくまで予測することしかできない。(売値の予測から、算出することができる。)

・予測する値のことを、期待値と呼ぶ。