フィンランドの母の勘は鋭し
とある日の日記。
ダンナの実家がヘルシンキ空港から上に少しいったところにあり、家族ぐるみでお付き合いがあるファミリーが近くに住んでいることから、結婚のご挨拶にダンナとダンナのママと一緒にお邪魔しにいきました。
ご夫婦と中学生くらいのお嬢さん、ワンコのお嬢さんのいるご家庭です。
奥さまは銀行のアナリストでお嬢さんは可憐でスポーツ万能、ダンナさまはパイロットなのだとかでそれはもう理想的でエリートなご家庭なのでした。
でも、フィンランドで共通なのがどんな地位にいる方でも、森に入れば人類みな兄弟的な親しみやすさがどなたにもあるのが特徴です。
ダンナさまは長身の笑顔が素敵な方で、よく食べるわたしを見てニコニコしながら「これも食べなさい、ドーナツもあるよ」と娘を見るような?笑顔で色々出してきてくれて、わたしを太らせにくる親切なダンディです。
みんなで、美味しいトルティーヤのタコス(パパ直伝でお嬢さまが手作りなのだとか!)をいただきながら、うちのダンナの弟くんの話に。
なんと、次週、弟くんが女性を紹介しにママの家を訪問するというのです。
うちのダンナの弟くんはヘルシンキでそこそこ有名なシェフで、寡黙で、たぶんイケメン(わたしのイケメンの基準がたまに人と違うみたいなので自信がない)。
ここ10年ほどは、仕事が忙しいのとモテるのか固定でお付き合いする人がいなかったようでした。
しかし、先日、急に引越しをすると言い出し、ヘルシンキセントラルの新居にソファの搬入を手伝いに行ったら、以前の東京都心の一人暮らしみたいな狭く殺風景なワンルームとは違い、1LDKでベッドもダブルでソファも大きいしテレビもある(前はなかった)。
ははーん、これは、と当時わたしはダンナと黙って顔を見合わせたものです。
しかし、他にも色々怪しい事案があったのですが、相手の目星がつけられずにいました。
そんな話をしていると、ダンナのママが、
「あの子がうちにある枕やブランケットに余分がないかって聞いてきて、これはいよいよ同居する彼女ができたのね、と直感したわけよ」
とニヤニヤしています。
フィンランドでは結婚の予定がなくても恋人を親に紹介することは多いですが、それでも紹介するということはそれなりに長期での関係を予定しているということです。
わたしは、
「私たちも色々探っていたものの手がかりがつかめなくて(探偵かな?)、来週のレポートお待ちしてますね!」
とニヤニヤ返しをします。
そこで、銀行アナリストの知的な奥さまがメガネの奥の目を光らせながら、
「ふふふ。この感じ久しぶりね。あんたたち(わたしとダンナ)が付き合ってるときにあんたのママが同じようにここに来て「うちの長男がどうも怪しい」って話してたのよ!」
と微笑みます。
わたしはビックリして「え、どのタイミングで?!」と焦りました。
隠してはないのですが、まだ彼がわたしと付き合ってることをママに言ってないとき、ダンナはフィンランド、わたしは日本にいた遠距離恋愛だったので、どう気づいたのか気になるところです。
ママは「これよ!」と、得意げにスマホから1枚の写真を探し出して見せました。
こんなかんじの、職場でのグループ写真です。
特にお互いを見てるわけでも隣に居るわけでもありません。
当時のわたしがいた会社の取引先で出張に来ていた彼がうちのオフィスに訪問したときに撮ったもので、プライベート写真でもありません。
ダンナが日本で仕事だよー的なかんじで送った写真のようです。
「この写真であなたをみたときにピンと来たのよ。2人はなんかあるなって!」
えー、全くわからん!です。
世の中のママって世界共通でこんなに鋭いんでしょうか。
「そのあとに、あんた(ダンナ)がkokkoを連れてきたときに、やっぱりあの写真の彼女だわ、ってすぐ分かったのよ」
と、不敵に笑います。
勘が鋭い!探偵になれそう?!
ダンナの弟のネタで酒を飲むつもりがすっかり自分たちのネタでも盛り上がり焦りまくった午後なのでした。