テレワークをすぐに始める方法は? 8つのノウハウを共有します (2)
<(1)からの続き>
(5) 勤怠管理
【すぐに始めるために】
テレワークで最も相談が多く懸念されるのが、勤怠管理です。テレワークの申請をどのように行うのか。全社一斉テレワークの場合でも、当日の仕事や、仕事場所の報告は求められます。テレワークは休暇ではなく勤務ですから組織の中でこれらのことがきちんと伝わっていることが大切になります。この連絡をどうするのか?
アステリアでは、自社製品Platioで作った専用アプリを使って、スマホから簡単に申請が可能です。また、それを受けた上司や人事はチームメンバーの状況を一覧することが可能です。専用アプリを使わない場合は、クラウド型表計算(Google SpreadsheetやOffice 365のExcel等)を使って、皆でその日の勤務形態、場所、内容などを書き込んで共用するといいでしょう。アステリアでも以前は、この方法を採っていました。専用アプリ、クラウド型表計算の2つの方法は連絡だけではなく、申請が自動的にデータ化されているので、統計や分析がやりやすいことも利点です。
上記以外には、Chatwork、Slack、Facebook Messengerなどのメッセージングアプリケーションも有用でしょう。小規模の場合は、LINEやWhatsAppなどの個人ツールも使えます。但し、今回のように大量にテレワークが発生する可能性がある場合は、上司や人事への個別報告ではなく勤怠報告のグループを作って報告しましょう。そうしないと報告を受ける側の収拾がつかなくなります。この方法で気をつけないといけないのは、自分の勤怠を他のチームメンバーにも観られるのは抵抗がある人がいるかもしれない点です。その報告がテレワークをしづらくなるかもしれませんので、上司や人事はメッセージなどでテレワークを申請しやすい雰囲気をつくることも大切です。
お勧めできないのはメールでの個別報告です。メールでは、タイトルを書かないと行けません。「おつかれさまです」のような、前振りを書かないといけません。「ご迷惑をおかけしますが〜」などの後付け文も書かないといけません。テレワーク申請のメール1つに5分程もかけてしまうことも多いでしょう。しかも、受ける側でも不定形のメールでは全体の把握や整理が困難です。無料で即日使い始められる上述のようなツールは多いので、この機会に導入しましょう。
最悪なのは電話での連絡です。受ける側の人事や上司は自分の手元で記録しなければなりません。多くのメンバーからの電話がかかってきて仕事になりません。
【落ち着いてからやること】
落ち着いてからやることは、全社的な連絡報告の仕組みを構築しておくことです。上記の個別アプリや、小規模の組織ではクラウド表計算での共有でもよいでしょう。ただし、もっと高度化させたいのであれば、テレワークに対応しているクラウド型の人事管理システムも選択肢に入ります。外部からセキュアなアクセスを確保するために、クラウド型であることは必須です。これが難しい場合は、専用アプリやクラウド表計算のほうがまだ便利で安全です。
(6) 業務管理/報告
【すぐに始めるために】
私が相談を受ける中では、「サボるのではないか?」「仕事が進まないのではないか?」「結果はどう確認するのか?」こういった不安がテレワーク実施を躊躇する大きな理由になっています。中には、家に監視カメラを置くとか、全社員のパソコンの稼働状況を監視するなどといった仕組みを入れている会社もあるようですが、こういった対策は、今日明日にはできません。
まずできることとしては、作業の管理や進捗報告を、1日に1回、多くても2回程度にすることです。監視がなければ、「もっと頻繁に例えば1時間毎に報告をして欲しい」などの意見を聞くこともありますが、それでは報告にばかり時間を使ってしまいテレワークの効率は上がりません。また報告の方法も、できるだけ簡易に、管理者の手間も取らないものが有効です。アステリアでは、Platioで作った進捗報告アプリを使っています。
また、チームメンバー間の依存性が高く、全体でインタラクティブに進捗を確認したい場合は、勤怠管理と同じように進捗状況をGoogle SpreadsheetやOffice 365のExcelなどのクラウド型表計算で共有するのもよいでしょう。さらに、後述するWeb会議を1日の最後に実施することも有効です。で共有するのもよいでしょう。さらに、後述するWeb会議を1日の最後に実施することも有効です。
【落ち着いてからやること】
落ち着いてからやることとしては、仕事のツールを全てクラウド化することです。クラウド化すれば、そこでの作業は権限のある人はいつでも進捗が確認できます。わざわざ報告の必要すらなくなります。例えば、アステリアの業務で使っているクラウドサービスは以下のようなものです。
・GSuite (Document, Spreadsheet, Presentation, Calendar)
・Box(ファイル共有)
・Trello(タスク管理)
・Gravity(CRM/ワークフロー※自社開発 )
・BugTrack(イシュー管理)
全て、通常オフィスに居ても使っており、テレワーク環境でも何ら変わらず使うことができます。とにかく、テレワークの時だけ特別なツールを使うことを極力減らしましょう。ところで、落ち着いてからやることとして、社員・スタッフの管理スタッフの監視カメラを入れるのはお勧めしません。それは、テレワークをする社員・スタッフを「信用していない」ということを言っているに等しく、また個人宅ではプライバシー上も問題があります。最大限行っても、テレワーク中のパソコンのON/OFFを確認できるツールを入れることでしょう。これは、日本の労基法が規定している時刻管理を社員に面倒をかけることなく実施する点でも有効です。しかし、アステリアでは、パソコンのON/OFFを確認するツールは入れていません。なぜなら、アステリアの評価制度はアウトプット主義であり、パソコンの前にいた時間は評価に全く関係無いからです。
(7) 会議/セミナー
【すぐに始めるために】
会社で仕事をする場合には、社内の会議やお客様との打ち合わせがあります。これは普段は対面で行っていますが、テレワークでは、これを克服する必要があります。
すぐにできるのは、Web会議ツールです。アステリアでは、Google Meetを標準で使っています。これはアステリアで全社員で標準で使っているGoogle Calendarと連動ができるからです。また、対外的なテレビ会議は、使い勝手が良いZoomを使うことが増えて来ていますが、相手に合わせて、SkypeやFacebook Messengerも使います。
ただし、Web会議にはWebカメラが必要であることがネックになる人がいます。その場合には、上記の4つのいずれのWeb会議ツールは音声だけでも対応していますので、音声だけから始めるのもOKです。但し、音声だけと映像付きでは大きく雰囲気が異なります。Webカメラは、2000円台から各種ありますので、これを機に揃えたいアイテムです。
また、セミナーやイベントの「中止」や「延期」が相次いでいますが、第3の選択肢として「オンライン開催」を考えてみましょう。即日使用できる無償のクラウド配信システムはいくつもあります。アステリアでは、不特定多数の場合にはYouTube Live、特定多数の場合にはZoomを使っています。
【落ち着いてからやること】
落ち着いてからやることは、会議/イベントのためのインフラ整備です。まず、会議室を"Web会議ready"にすること。そのためには、会議室に常設のモニター、Webカメラ/マイクが必要になります。さらに、Apple TVや、Chrome Boxを常備しておくと、いつでも直ぐにWeb会議を開催することができます。アステリアでは、全ての会議室をWeb会議readyにしています。
また、会社で有償のWeb会議、Webinar(Web Seminarの略)、テレセールス(インサイドセールス)などのツールを契約しておくのも良いでしょう。しっかりサポートが受けられる有償版には、V-Cube Meeting、Cisco Webex、Zoom (Webinar)、Bellfaceなどがあります。アステリアでは、オンラインセミナー用にZoomの有償版とテレセールス用にBellfaceを使用しています。
(8) 資料の共有
【すぐに始めるために】
Web会議を行う場合に問題になるのが資料の共有です。資料の共有はメール添付でできると思われる方も多いと思いますが、機密文書には細心の注意が必要です。機密情報の漏洩が、外部アタックと同じように社内からの流出が多いことを考えると、機密文書をメールでやりとりするのはリスクが高いでしょう。メール添付でファイルを送った場合、ファイルの転送は自由です。パスワードを知っている人は、パスワードを解除した文書を作ることもできます。ではどうすれば良いのか?
その対策は、クラウドファイル共有やモバイルファイル共有を使うことです。もちろん、Web会議の間にだけ、資料をみせておくという機密の保持の仕方もありますが、会議が終わってから参照したい場合など、仕事そのものに支障を来します。テレビ会議の画面をスマホで撮影するなどの滑稽な場面を観たこともあります。
アステリアでは、作業中の資料についてはBoxで、完成した資料についてはHandbookで共有しています。クラウドファイル共有やモバイルファイル共有では、アカウント毎にアクセスの記録ができます。また、サービスによってはHandbookのようにダウンロードの制限や共有期間の設定なども可能です。
【落ち着いてからやること】
落ち着いてからやることは、まず紙に印刷して共有することを排除することです。紙に印刷して共有する場合は「ファイルは○○さんのパソコンにしか入っていない」などということが助長されます。少なくとも社内の文書はデジタルファイルで共有することです。完成した資料は、異なった環境での見栄えやレイアウトを担保するためにPDF形式が望ましいでしょう。
ここまで8つの項目について整理をしてお話しをしてきました。
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