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ちょっと前にヨーロッパ横断をした話7(11/17 スイス ルツェルン)
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目的地はスイスのルツェルンだったが、直行便がなかったため近くのチューリッヒ行きのバスに乗車していた。
5時半過ぎにチューリッヒ駅に到着。
バスの乗客は淡々と目的地に向けて薄暗いチューリッヒの街に消えていった。
自分はというと、乗り継ぎの電車まで2時間以上まだ暗くお店もやっていない駅で待機しなければならなかった。
貧乏旅行の一番つらい所は、夜行バスでも、安宿でもなく、このような空白の時間を過ごす場面だ。
11月の早朝だったので、寒さは大分きつくなっていた。
駅にいれば幾分かは寒さは和らぐが、依然として寒い。風邪をひかない様、一切を抜けない。
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じっとしているのも辛いので、気晴らしに駅を散歩することにした。
駅前広場には、オール明けと思しき青年たちがスケボーに勤しむ。
青年の叫び声と、スケボーの乾いた音が広場にこだまする。
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2時間余りの待機の末、ルツェルン行き電車がやってきた。
なんと2階建て!
早朝のせいか、乗客は殆どおらず自分の乗った車両には自分以外いなかった。この時間に2階建てはいらないだろ。
チューリッヒからルツェルンはおよそ30分で到着。
到着のタイミングでちょうど眠りにつきそうだったばかりに、もう少し長く乗っていたかった。
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朝8時過ぎにルツェルン駅に到着。
寒さのせいか、喉が少しイガイガしていたので、のど飴を購入しようと駅のキオスクに向かった。
向かったキオスクには、どこか見慣れたパッケージが。
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お洒落なスーパーでたまに売っているリコラ。沢山の種類が販売されている。
実は、リコラはスイスが発祥なんだそう。
キオスクの狭い陳列棚に上の写真とほど同じラインナップのリコラが並べてあった。
この時が初めてリコラを食す瞬間だった。
龍角散のような特徴的な癖がなく、巷のフルーツキャンディ程甘ったるくない。
丁度いいバランスの味。なるほど、これは世界中から支持されるわけだ。
晴れてスイスに着いたという事で、一つ確認したいことがあった。
それは、スイスの物価事情ついて。
スイスの物価が高いという事は割と周知のことだが、実際の所どれ程なのだろうか。
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スイスの物価事情を如実感じられたのが、マクドナルドの値段感だった。写真の通りハンバーガーが3フラン。1フランは150円くらいだったので3フランは約450円。高すぎ。
(ちなみに、現在は当時よりも格段に円安が進んでいるので、500円以上すると考えられる。)
2019年の日本では、ハンバーガーが100円で食べられた。
マクドナルドだけで見ると、物価は日本の4倍に膨れ上がる。異常な高さだ。
外食が高くつくのはヨーロッパの国ではよくある事ではあるが、マクドナルドのような世界規模のチェーン店になると価格は比較的お手頃になる傾向があった。
そんなマクドナルドでさえ、スイスとなると貧乏旅人を見捨てる。
簡単な散策を終えて、現地に留学している友人と合流をした。
これから、友人の案内によって一連の観光地を巡ることになる。
案内をしてもらう身として、眠くなっている場合ではない。
この旅デフォルトの曇り空の下、ルツェルンの景色を写真に収める。
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街を一通り巡った後、夕食の話になった。
友人ははるばるルツェルンまで来てくれたという事で、チーズフォンデュをご馳走してくれるとの事だった。
帰り道の足でスーパーに行き買い足しをした後に、友人寮にお邪魔する事に。
基本的にスイスの物価は高いが、MIGROSというスーパーだと比較的出費を抑えられる事に気づいた。
価格は良心的で、日本のスーパーの相場と変わらないくらいだった。
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広めのリビングがあり、色々な国籍のルームメイトが住んでいた。
その中でもジョージア人の女性が特にフレンドリーに接しくれ、彼女も一緒にチーズフォンデュを楽しむ事になった。
友人はこのジョージア人と仲良くなった縁で、日本に帰国の途中にジョージアへ寄ったらしい。
翌日はスイス屈指の名山、ピラテゥスに行く事にした。
バスに揺られ20分もしないうちに山麓に到着。ここからロープウェイを2つ乗り継いで山頂を目指す。
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ロープウェイに乗り、麓を離れるとすぐ眼下には羊の群れが見える。
ハイジの世界そのものだった。
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大型のロープウェイに乗り換え、山頂に到着した。
しかし、ちょうど雲がかかったっていたため外は真っ白で何も見えなかった。
山頂には大きめの建物があり、天候が悪くても凌ぐ事ができた。
そんな中、大所帯の中国人観光客が怒涛のように建物に入ってきた。
展望台には空港の免税店な佇まいの時計売り場があった。
「景色が何も見れずに、時間を持て余しているのなら時計でも買ってお金を落としてください」と言ってるかのようだ。
中国人グループその狙い通りに、持て余した時間を時計のショッピングに費やした。
暫くすると、皮肉にも山頂まで登りショッピングをすることとなった中国人グループは姿を消していった。
自分たちはもう少し待てば天気も良くなるのではないかと思い、もう少し粘る事にした。
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しぶとく待っているとちょうど山頂が雲の隙間に入った様で、これまで隠されていた山頂からの景色を目にする事ができた。
この旅で初めて天気が味方してくれた瞬間だった。
下山して街にに戻ると靄がなくなり、どこか爽やかな雰囲気を醸し出していた。
晴れやかな夕空の下、友人と互いの健闘を祈りながら別れを告げた。友人の乗るバスを見送った後、自分は日没までもう少し街にいることにした。
湖畔に行き、もう二度と見る事がないかもしれない街の景色を眺める。
雲の間から夕焼けが差し込み空を明るく照らした。
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(続く)