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ミラノから東京へ。ワクチン接種は何のために。

オリンピックの時期なのにも関わらずオリンピックとは全く関係なく、ミラノ発パリ経由成田着で単身イタリアから東京に一時帰国しており、現在14日間の自己隔離中です。

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イタリア出発前にはファイザー2回接種終えてまして、 Green Pass と呼ばれるワクチン接種証明ももらっていますが、日本にとっては関係ないらしく、ワクチン打っていようがいまいが14日間の隔離が必要になります。

リスクを受け入れてのワクチン接種の目的は、もちろんコロナに罹りづらくしたり、重症化の確率を下げたり、というところにありますが、経済活動、普段の活動を元に戻すというところも大きな一つの目的です。

Green Pass を持っていれば、基本的に2回目の接種から9ヶ月間は飛行機でも、電車でも、映画館でもレストランでも、コロナ前と同じように検査や隔離なしで EU 内を移動できることになっています。でも、日本は Green Pass 持っていても接種していない場合と同様、14日間の隔離というならば、リスクを受け入れてワクチンする意味ってあるんでしょうか?

現在準備中なのかもしれませんが、色々遅すぎです。

ここのところ、色々な人に聞かれるので、自分の記録の意味も兼ねて、ミラノから東京で隔離までを書き記してみます。

出発前

7月12日(月)出発のタイミングでは、いくつか事前の用意が必要でした。

・スマートフォンに必要なアプリをインストールすること(スマートフォンを持ってなければ、日本の空港で自費レンタル(義務))
・厚生労働省のページで質問票に連絡先などを登録し、 QR コードを取得
・出国前72時間以内に行われた COVID-19 検査の陰性証明書(イタリア語では Tampone Molecolare:簡易検査じゃダメで、有効な検査であること、その他、医師のサイン、パスポート番号などの記載が必要になります。)

※ 現在の水際対策に関しては↓参照
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00209.html

ちょっと難しいのが出国前72時間以内の検査という条件で、きちんとした PCR 検査だと検査結果判明まで時間がかかる事もありますが、この時期のフライトは遅れたりキャンセルされたりする可能性が十分にあり、もしフライトが遅れたりすると、検査も含めてイチからやり直しになる可能性があります。

更に、7月12日の出発便は月曜の朝。72時間前だとギリギリ金曜日朝ですが、フライトが遅れたりしたらすぐアウト。そもそも土日に検査をやってくれるところが少ないので結構探しました。日曜に検査してくれるところは更に少なく、5,6日前に探しはじめてみても、予約取れるところは見つけられませんでした。

なんとか7月10日(土)の朝に検査をし、その日のうちに結果をメールで送ってくれるというところを見つけ、無事検査結果を取得。対応もとてもスムースで、朝9時15分の予約で9時20分には終了。同日の22時までには届くとのことでしたが、19時前に届きました。(もちろん陰性)

出発当日(@ミラノ・リナーテ空港)

ミラノのリナーテ空港を出発し、パリで乗り換える旅程なので、一便目はヨーロッパ内の移動です。まずは EU 圏内の移動なので細かくは聞かれないかと思っていたら全くそんなことはなく、チェックインカウンターでは日本政府から求められている書類を全てチェックされました。 PCR の検査結果、携帯に日本政府が要求するアプリがインストールしてあるかどうか、 QR コードも既に取得しているか、もチェックされます。全て用意していたので、なんなくクリア。

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前夜の EURO2020 のイタリア優勝の興奮も冷めやらぬうちに出発、という感じでしたが、それほど混んでる感もなく、ロックダウンの期間中に結構改装されて新しくなったリナーテ空港を眺めつつ、出発。

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ミラノ・リナーテ空港→パリ・シャルルドゴール空港の機内

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パリに向かう機内では、↑こんな記入用紙が配られました。連絡先や座席番号も含めて書かされます。 Public Health Passenger Locator Form ということで、クラスター感染が発生した場合など、簡単に連絡がつくようにするための様です。既に航空会社が持ってる情報じゃないのかな、とも思いましたが、2重で集めておかないと、連絡がつかないケースもあるのかもしれません。恐らく携帯番号とメールが重要項目です。

席をあけて座っていた男性は字が書けないようで、書いてくれないかと頼まれたので彼の分も書いてあげました。すごく感謝してくれましたが、この時期の移動は書類が書けないと大変でしょうね…。

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↑機上で配られたマスクと消毒シートのセット。とにかく、デルタ株の感染力は強いらしいのでこんなので防げるかは疑問ですが、空港や飛行機でマスクしてない人はいないです。

パリ・シャルルドゴール空港での乗り換え

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遅れる事なくパリに着きました。この頃、パリの街には人が出ていない、という話を聞いていましたが、空港はパリを脱出しようとする人でごった返していたようです。特にチェックインカウンターがすごく混んでいたようです。細かい書類チェックが必要だったのかもしれませんが…。

成田行きの出発ゲート

乗り継ぎには2時間あったのですが、少し時間が足りないくらいかと心配しつつ、走らなきゃいけないような事はありませんでした。フライト出発前40分くらいには着いておいた方がいいかと思い、行ってみたところ既に乗り始めてました。

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どういうルートか知りませんが、みかけただけでもパナマ、アルゼンチン、セルビアのチームの人たちが一緒でした。が、乗り込む前のゲートで、またすべての書類をチェックしています。特に COVID-19 陰性証明の書類のチェックに時間がかかっていたようです。

厚労省は統一フォーマットで持ってきていただきたいようですが、今時検査結果を紙でもらうためにもう一度病院やクリニックなどに行きなおすパターンは少ないと思いますので、それもなかなか難しいのではと思います。もしかしたら今は対応が進んでいるかもしれませんが…。

3時間遅れでの出発

ゲートで書類チェックはあったものの、フライト予定時刻には結構な人が既に機上に乗っていました。が、アナウンスがあり、チェックインカウンターがかなり混んでおり、まだゲートにたどり着いていない人が居るとのことで、待機となりました。

そして1時間が過ぎ、2時間が過ぎ、またアナウンス。「登場予定のお客様にニューカレドニアに行くために成田で乗り継ぎされるお客様がおり、遅れております。その乗り継ぎに遅れると1週間先まで次の便がないのでもう少々お待ちください」とのこと。

予想外の理由でしたが、こんな時期なのでしょうがない、というところです。そして、予定時刻 13:25 発の AF276 便は3時間以上遅れ、結局 16:45 頃の離陸でした。幸いにも機上でちょっとは寝られましたが、怖いので FFP2 のマスクは常に着けたまま、隔離生活始まってからも、しばらく耳痛かったです。

成田に着陸してから

3時間以上遅れでの出発でしたが、到着は定刻 8:25 から2時間半遅れ程度で11時前に到着。やっと着いたと思ったら、今度は空港の建物に接続するまでがまた待たされました。

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↑この位置で40分くらいはこのまま待ってたと思います。そして降機は、例のニューカレドニアに行く人達、オリンピック関係者、一般客という順。

降りてからは、まず書類のチェック、そして新たに書かなければいけない書類、 PCR 検査等があり、色々時間かかりましたが、それでも最近報道されていたような所要時間7時間ということはなく、4時間くらいで15時過ぎには税関を抜けました。

事前情報では Skype なんかも入れてこい、ということだったのですが、新たなソフトが用意されており、その場でインストールとセットアップ。 GPS ロケータで随時居場所を報告し、いつかかってくるか判らないビデオコールで背景を含めて隔離場所に居る事を共有し、録画して保存されるとのこと。

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毎朝11時に送られてくるメールのリンクから14時までに体温が平熱か、咳などはないか、健康報告をする義務もあります。そして、 Google Map のロケーション履歴(タイムライン機能)もチェックされ、万が一移動した場合に、何時にどこにいたかを追跡されることになります。

また、 COCOA も入れて動かさなければいけませんが、その時点でイタリア側の同様のソフト immuni は動かなくなります。

当初の予定から大分遅れたので、空港からの移動用に予約していたレンタカーの予約時間には5時間遅れ。営業時間中には借りられるだろうと思っていましたが、交通規制や渋滞の可能性があるという話で、時間内に返せるかがちょっと心配でした。

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ともあれ、無事レンタカーを返し、食料を買い込み、隔離場所での14日間が始まりました。

隔離生活

体調は快調、至って問題ありませんが、長距離を移動してきているので、ワクチン済みだったとしても、確率は低いですが万が一無症状感染しているという可能性があります。とにかく自分の体調に気を付けながら、閉じこもりました。

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毎日の健康確認と、位置確認、ビデオコールなどが不定期にやってきます。大事なことなので、ひたすら我慢するしかないです。イタリアに戻った時にはワクチン済みの Green Pass 持っていますので検査も隔離も原則何も必要ないですが、やはり少なくとも最初の数日は様子を見るべきじゃないかと思っています。

隔離5日目。自分が無症状感染しているかは気になるので、宅配の PCR 検査を依頼してみました。9時~12時に来る予定で、正確に検査するため、30分~1時間前は飲まず食わずとのことなので、朝ごはん食べずに待ちましたが、結局来たのが11時頃で結構腹ペコ状態。唾液は出やすい感じでした(笑)

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検査からほぼ24時間後、結果が届き、「低リスク」(検出なし)。まぁ大丈夫だろうとは思っていましたが、結果を得ることで大分安心できました。

隔離10日目。もう感染はないだろうと 99.999% の自信を持ちつつ、2度目の宅配 PCR 検査。 3000 円で宅配、回収、24時間以内の結果送信で、デルタ株も判明するってちょっとすごくないですか?検査している間は、宅配に来てくれた人が待っててくれます。

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まぁ、結果は待つまでもなく、「低リスク」(検出なし)。隔離10日目でも陰性確認。色々調べましたが、ワクチン済みに14日の隔離はやはり非科学的です。ご興味のある方は、 Yale 大学の Townsend 教授が発表している論文など参考にしていただくと良いかもしれません。

規制は日々刻々と変わる

オリンピックが始まって早々、京都大学の8割おじさん、西浦先生がオリンピック中断と再度のロックダウンを勧告するほど逼迫する可能性がある今、水際対策には本当に注意しないといけないと思います。

最近のオランダのように、ワクチン済みの割合が高ければベッド数を逼迫する可能性はまだ抑えられるかもしれませんが、問題は日本のワクチン接種が遅れてること。

ワクチン接種を増やしていくしか医療を守るすべはないのかもしれませんが、それでもワクチン済みに14日間隔離させるつもりなら、ワクチン打ったって経済活動は元に戻らないんじゃないのか、と思ってます。そのあたり、日本政府の意図を知りたいですね…。

ワクチン証明を持っている人は8日間の隔離で7日目に PCR 検査を行い8日目に陰性が確認できた時点で隔離を終了する、とかならまだ理解できるんですが、オリンピックや、特別なビジネスの事情など、「例外」ばかりで対応続けるつもりなんでしょうか?

特別枠が公平か不公平か、というのは政治的な話で割とどうでもいいんですが、非科学的な事を押し付けられて、非合理にこちらに負担がかかるのは納得いきません。

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ということであと3日、ビデオコールで Green Pass を見せるという無意味なアピールをしながら、無駄と思える隔離生活を過ごします。


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