Darkest Dungeon IIは前作からどう変化したのか
インディーズからのリリースながら個性的な作りで名作と名をはせたRPG「Darkest Dungeon」(以下DD1)の次回作、「Darkest Dungeon II」(以下DD2)が2021/10/27にEpic Games限定でリリースされました。
この記事を書いている11/15の段階では、ゲームはアーリーアクセスとなっており、コンテンツが随時追加予定となっています。DD2はDD1と何が変わったのか?DD2はどんなゲームとなったのか?見ていきましょう。
DD2はDD1から大きな方針転換を行った、DD1とは別のゲーム
結論から始めましたが、DD2はDD1から大きな方針転換が行われています。それにより、DD1とは大分異なるプレイフィールを持ったゲームとなっています。
DD1では、冒険者達は使い捨ての労働者としての立場を担っており、複数の労働者を使役してダンジョンへ派遣を行い、ダンジョンから持ち帰った物資や金品を以って街の施設や冒険者の武具品質向上、装備可能なアクセサリ収集といった冒険におけるリソースを高め、段々とパラメータをアップさせ、より深く暗いダンジョンに潜っていく作りとなっていました。
これは数字を高めてよりつよいパーティを作成し、よりつよい敵に立ち向かうというRPGとしては意外な程王道の作りがあったということです。
これに対しDD2では、DD1にあった失われないリソースの収集という概念がかなりの部分オミットされています。冒険者たちは使い捨ての労働者ではなく旅を共にする仲間となり、街という概念はなくなりました。
これにより、次々と労働者を使い捨ててリソースを収集する行為は不可/不要となっています。
パーティを結成した冒険者たちは幌馬車に乗り込み、光を求める旅に出ます。一度結成したパーティはその道中で任意の変更はできません。
最終目標を達成するため、リソースを収集しつよい組織を作るRPG的なシステムから、一度切りの旅における限られた資源の管理を通しての最終目標達成という、ローグライトに近いシステムへの変更が行われています。
多くのプレイヤはこれに戸惑いを覚えたことと思います。
永続する資源の収集による数字の向上、それにより可能となる安定的な組織の運営を行うRPGゲームだったのが、不安定かつ永続せず限られた資源を元手に、リトライを繰り返すローグライトゲームとなったからです。
「何か違う」だとか「これじゃない」といった感想は、RPGをやろうと思ったらローグライトをプレイしていたことから発生していると考えています。
DD1の延長線上、ボリュームや要素の拡充をDD2に求めていたプレイヤは、
確かに「これじゃない」という感想を抱いても不思議ではありません。
DD2は、DD1とは根本の思想が異なるゲームなのです。
ゲーム上での特に大きな変更点
■街の削除
街がなくなりました。これにより、ゲームの作り自体が変化しています。
ゲームは開始時にパーティ編成を行った後、街道ステージの進行、街道ステージを終えたら宿屋でのセットアップ、を繰り返すようになっています。
宿屋はかつての街とキャンプを足して割ったような機能を持ちます。
街の施設で可能だった要素は、実行できるタイミングの変更または要素自体が消滅しました。具体的には、以下のようになっています。
・修道院→消滅。ストレス管理は戦闘中のスキルとステージ間にある宿屋で行う形に。
・鍛冶屋→武具の強化という要素ごと消滅。
ギルド→ステージ間で収集できるマスタリーポイントを使用して宿屋で行う形に。
・行商人の馬車→ステージ内に存在する商人もしくは宿屋へ。
・療養所→ステージ内に存在する野戦病院へ。マイナスの奇癖はここでしか消せず、重要。
・サバイバリスト→キャンプスキルという要素ごと消滅。
・駅馬車→消滅。冒険者は常に全ての種類を選択可能。ただし1職業1人まで。
・酒場→修道院同様、消滅。
■命中率の削除
攻撃は基本的に必ず命中するようになりました。
これはより戦略的な戦いとしたかった意図があったらしく、DD1でも初期のバージョンより後期のバージョンの方がより高い命中率となっていったことを踏まえているそうです。
ただし、50%/75%で敵の攻撃を避けるバフ、50%で自分の攻撃を外すデバフがあり、このときは運が絡みます。
■アフィニティシステムの追加
冒険者同士の間の仲の良さを表すアフィニティシステムが追加されました。
これがプラス方向に一定数高まると、お互いが尊敬の念を抱いたり、あるいは恋人同士になったりしてその結果ストレスの緩和、ダメージの肩代わり、ターンを使用しないバフの追加、ライフの回復などの様々なプラス効果を発揮するようになります(稀にマイナス効果もあります)。
逆にマイナス方向に一定数高まった場合、お互いに疑念を抱いたり、いがみあったりして、ストレスの追加、ターンを使用しないデバフの追加、行動の阻害といった様々なマイナス効果をもたらすようになります。
現在(11/15)のボリューム
DD1では最終的に18種類(役割が全く同一であるマスケティアを除くと17種類)の職業を選ぶことができましたが、DD2では現在9種類までの職業しか選択できません。
選択できる行程も1種類で、アーリーアクセスということもありボリュームはまだまだ不足しています。これは今後の完成版に向けて随時追加予定といったところでしょう。
ちなみに、選択できる職業の基準として、複数の役割を持てる職業は初期段階には加えなかった、と製作者からのメッセージがありました。具体例としては犬使いが挙げられています。
DD2は買いなのか
DD2に対し、DD1の延長線上、ボリュームや要素の拡充を求めている人は
おそらく買ったとしても「なんか違う」「これじゃない」という感想を抱くでしょう。
DD2はDD1と異なる設計思想で作られたゲームであることを理解し、それに則ったゲームプレイを行う人はDD2も楽しめると思います。
独特の画風を持ったグラフィックは3Dを用いることでタッチを損ねることなく進化し(追いはぎのナイフ捌きがかっこいい!)、様々な職業の組合せを試すことの可能な、戦闘における戦略性もそのままです。
現時点でのボリューム不足は否めないので、ゲームにある程度のボリュームを求める人はコンテンツが充実するまでは買わない方がいいかもしれません。