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作品レビュー『PSYCHO-PASS サイコパス3 FIRST INSPECTOR』

こんばんは。視聴後の熱も冷めやらぬまま書いています。

私はこの『PSYCHO-PASS』シリーズが大好きで、2012年の放送当時からずっと追っていました。

新主人公を迎えキャストを一新し、新たな展開を見せた3期から時を俟たずして公開された今作、劇場での公開に加えアマゾンプライムでも同日配信とは本当にありがたい。
コロナ騒ぎで映画館へ行くのが気が引けるので助かりました。関係者の方々に、感謝。

シーズン1の時点で完成度がかなり高く、単体でもよく纏まっていたのですが、数度の続編で作品世界は深みを増し、国際問題も絡んできてストーリーは複雑かつ重層的になっています。私は何度も見かえしてやっと理解できるようになりました(決して100%ではありません)。

虚淵玄さんに加え、深見真さん、冲方丁さんなどSF界を代表するブレーンが脚本を担当しているのだから、そりゃ難しくもなるわな。凡人の頭では何度も噛み砕いて咀嚼しないと理解できないのも当然です。

舞台は今から100年後、テクノロジーが人間の心理を暴いて数値化し、逸脱する傾向のある人間を事前に収監する世界。しかもそれを判断するのは、そうした異端者たちの脳からなる集合知性体なのです。

普通に考えてディストピアな設定ですが、この作品では泥臭い人間性がこの社会に対抗しうる存在として位置し、システムも苦悩の中で進化していきます。
彼らも彼らなりに最大多数の最大幸福を目指しており、決して独善的ではないのです。

生身の人間である主人公たちは、システムの圧倒的な支配の中で、手探りで、もがいて、ボロボロになりながら対峙し、人の持つ本来の倫理観、価値観を主張し、社会の在り方に変革をもたらします。

この作品の本質は、非人間的な管理社会における人間の可能性を描いた、人間讃歌の物語といえます。

終盤に新たな展開があったので、まだまだ終わりそうにないですね。放送から8年経ってこれなので、アニメ史に残る長大な作品になる予感です。

アマゾンプライムビデオで第1シーズンから見れますので、興味のある方はぜひご覧ください。

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