「むしろ忘れたいんだよ、あのことを」
3月11日のあるニュース番組の冒頭。
福島の被災者がアップになって、こんなことを話されたそうです。
被災した人、しなかった人。また、その程度の大小。その時に支えてくれた人がいたのか、いなかったのか。東日本大震災が起きる前の時点でのその人の状態などなど。
1億人いれば、1億通りの神経系があります。
その人その人によって、どう出来事を捉え、反応するのかは本人にすらもしかするとわからないのです。本人は乗り越えたと思考の部分では思っているけれど、実は傷ついたまま引きずっていて、今の人生にも気づかない間に影響を与えているのかもしれません。
「忘れちゃいけない」と思うことで、防災意識が高められて、被害を最小限に防ぐことができるかもしれません。でも、忘れたい人にとっては「忘れちゃいけない」という声によって、思い出してトラウマの渦に引き摺り込まれているのかもしれない。戦争や震災などの国や世界という大きな単位のことであれ、性暴力や虐待などの個人的なことであれ、「忘れちゃいけない」と「忘れたいんだよ」。どちらもあり得て、そう思うことに良いも悪いもないという。何が正しいとか、何が悪いとか、ではどうすればいいのだとかそういう話でもないという、ただただ難しい話。
ただ、さまざまなニュースがある中でその被災者の発言を冒頭で流したニュース番組はなかなか素晴らしいと思いました。
私は昨日まで1週間、終日トラウマに関する心理セラピーの研修を受けていました。そんなこともあって、オチもないんですがこんなことを書き綴ってみました。面白くなくって、ごめんなさい。