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速読は"目指す"ものではない
講師業をしているとやたらめったら「速読」という言葉を目にします。
「速読」とはその名の通り文を速く読んで内容を理解することです。
「速読」を一番多く目にするのは、英語の試験で「時間内に解き終わるために速読をしよう」という文脈において、です。
時間制限のない通常の読書では急いで読むモチベーションが働きにくいので当然かもしれません。
速読の方法について記した教材なども存在します。
いくつか読んでみたこともありますが、多くの場合が以下の2パターンのようなものでした。
いわゆるパラグラフリーディング
いわゆるスラッシュリーディング
それぞれについてその是非を検討してみましょう。
🐬パラグラフリーディングってどうなの?
パラグラフリーディングというのはパラグラフごとに要点を掴んでいるという読み方です。
書き手がパラグラフごとにある程度まとまった内容で完結させるので、それを読み手の側が逆手に取るということですね。
🦔過激派
過激な人だと「各パラグラフの1文だけ読めばいい」とまで言い切る方もいます(マジで)。
最近は大学入試も資格試験も分量が増えているので気持ちはわかりますけどね。
実力的にどう考えても解き終わらない生徒に苦肉の策としてこのような指導をせざるを得ないというのは、現場の人間としては、わかります。
ただ、やはり一時しのぎに過ぎません。
段落全体の内容を問う要約的な問題であれば解けますが、具体的な部分について突っ込まれたらアウトです。
そもそも論として、これが根本的な欠陥だと思うのですが、各段落の1文目だけ読んで内容が取れる英語力があれば全文読んでも解き終わるでしょう。
🦔穏健派
この過激なパラグラフリーディングではない「パラグラフの構造を意識したリーディング」(穏健なパラグラフリーディングとします)にはある程度意味があると思います。
特に英検で役に立ちます。
ご興味のある方はこちらの教材をおすすめします。
🦔でも速読とはあんま関係なくね
はい。
段落ごとに要点を理解するという話と文(章)を速く読んで内容を理解することって直接的な関係がないような。
もちろん文章を俯瞰する力はつきますけどね。
ただ情報を処理するスピードに大きな違いはできるので、「木を見て森を見ず」でいうところの森を見る力は養われることになります。
このパラグラフリーディングと異なる立場から提唱されるのが次のスラッシュリーディングというものです。
🐬スラッシュリーディングってどうなの?
スラッシュリーディングとは、例えば以下の英文を読むとして、
Indeed, the new data indicate that about 45% of people who died after consuming fentanyl in 2020 also tested positive for another drug, such as cocaine or methamphetamine, compared to about 40% the year before.
以下のようにキリの良いところで区切っていくというものです。
Indeed, /the new data indicate that /about 45% of people /who died after consuming fentanyl in 2020 /also tested positive /for another drug, /such as cocaine or methamphetamine, /compared to about 40% the year before.
https://time.com/6128982/fentanyl-pandemic-opioid-epidemic/
返り読みをしないから速い!
ネイティブが実際に読んでいく際の思考プロセスに似ている!
という主張で一定の支持を得ているようですが、
キリの良いところってどこだよ
線引いただけじゃねえか
TOEIC線引けねえよ
ネイティブの思考プロセスを真似できるならそもそも第二言語習得研究なんていらねぇよ
といった心無い批判も(主に私から)飛んでくるそうです。
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