【高卒公務員試験】教養試験1ー命題ー 補足記事
命題を学ぶことの魅力を改めて考え、掘り下げてみることを目的として、補足記事を作りました。
公務員試験には作文、論文試験があることが多いため、公務員試験での作文、論文試験の型をゆるーく意識してみています。
課題「命題を学ぶ魅力について述べよ」
命題 を学ぶ魅力について2点あると考える。
1点目は、熟慮する基礎が養えるという点である。
命題について学び、演習問題を解くことで、自然な形で「◯◯なら・・・」という形式について、見聞きした表現の対偶も考えることが期待できる。
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この点について「いや、いちいちそんなことしなくない?」という連想が浮かぶ場合、学んだことをすぐに使いたがる小さな子どもの感性と少し離れている、ということなのではないかと考える。
命題を学ぶ過程で嫌気がさしたり、教え手に対する感情的な反発などがあると「坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い」といった形で、命題について否定的感情が結びつき、日常においてむしろ避けること に親和的であることが予想される。
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例として
「A は生産性が高い」という命題をあげる。A → 生産性◯ と略すことにする。対偶は「生産性☓→Aでない」である。
A → 生産性◯ と見聞きした際に納得感があったとしても、対偶を考えると、案外反例が自分の知見の中で見つかることがあるものである。そういった情報の解釈における基礎的な考え方の枠組みの1つが自然に学べる。
こういった学びがなかった場合、情報に触れた際、安易な結論に飛びつきやすくなるのではないだろうか。もちろん、命題を学んだだけで、熟慮する力が格段に向上するわけではないだろう。しかし、確かな基礎を効率よく学ぶことができるという点において、命題を学ぶことには大きな意義があると考える。
2点目は、同じことを違う形で表現することの意義について学ぶことができるという点である。
A → B に対する対偶命題は、片方が真であればもう一方も真なのであるが、その表現から受ける印象はかなり違うものになる。このような「同じ内容の別表現」を自然な形で身につけていくことが、命題を学ぶ意義であると考える。
また、「同じに見えても異なる内容」となる表現に鋭敏になるという副産物も期待できる。すなわち、ある命題が成立しても、逆や裏は成立するとは限らないし、ある命題が非成立でも、逆は成立することがあるということである。本題の記事の例でもあげたが
$${x^2 = 2}$$ ならば $${x = \sqrt{2}}$$ である。
という命題において
$${x^2 = 2}$$
を解けば、x = ±√2 であるから 元の命題は成立しない。しかし、逆に x = √2 → $${x^2 = 2}$$ は成立する。といった具合である。
人生において、同じ内容であるのに、言い方・伝え方によって結果が異なることはしばしば見られるものである。特に好意や業務が関連する場合で思い当たる節があるのではないだろうか。「伝え方が9割」という本がとてもよく売れたのは、共感しやすい話題であったということもあると考えられる。
「同じことを違う形で表現すること」の重要性は非常に大きいといえる。もちろん命題を通じてでなくても学べるが、主観的経験に基づく知見による学びは、一般性のない学びとなりがちである。数学や論理学の一分野として抽象性、厳密性を保ちやすい形で、「同じことを違う形で表現すること」や、副産物として「同じに見えても異なる内容」に馴染みが持てる という点が、命題 を学ぶ魅力であると考える。
以上、2点の理由から、命題 を学ぶことは魅力的である。