私が結婚できたキッカケは推しだった
リモーネ先生「正一?正一はね、石黒正一って顔だよ。みんなも見たらわかるよ。正一は、石黒正一って顔だから」
このとき、私の約8年にも及んだ婚活に終わりを予告する鐘が鳴った。…もちろん、当時の私にその鐘の音は聴こえていなかったのだけれど。
それは、いつだっただろうか。
私の推しのゲーム実況者、リモーネ先生(以降は先生と呼ぶ)の生配信での出来事である。
当時、超イケボの口悪いドS配信者(賞賛句)、先生に沼っており、生配信は欠かさず聴いていた。
そしてもう一人、声フェチ兼少年好きの私の心を掴んで離さない推しがいた。
それが、石黒正一だ。
おそらく、ほとんどの人が
誰?
と思ったに違いない。
無理もない、彼はただの一般人だ。
もっと掘り下げると、彼は超人気声優・花江夏樹さんの中学時代からの幼馴染である。
なぜ、そんな彼を知ることになったかというと、花江夏樹さんのYouTubeチャンネルにごくプライベートな友人として、たびたび、ゲーム実況・配信に参加していたからである。先生の配信にも、ときどき登場していた。
その声は、とても"少年み"があった。
例えるなら、小学生の頃を思い出してほしい。
足が速くて、運動会ではいつもリレーの選手。運動神経もよくて、体育の授業はいつも注目の的。
クラスでは、いつもヤンチャなあの男の子。そんな男の子が、あなたのクラスにもいなかっただろうか。女の子がみんな好きになっちゃう、あの男の子。
その声には、そんな男の子みたいな少年みを感じたのだ。これは特定の人物を指すのではなく、あくまでイメージである。
声質、言葉選び、雰囲気、そのすべてに、そんな"少年み"を感じて、気づいたら沼っていた。顔も見たことがないのに。
話を戻そう…
そう、あの配信はいつだったか。
先生が、リスナーからこんな質問を受けて答えていた。
「いつめんの人(よく一緒にゲーム実況をする人)たちは、犬顔ですか?猫顔ですか?」
この質問に、先生はいつめんの顔について犬か猫か答えていた。そしてそのとき、正一さんに対してこう言ったのだ。
リモーネ先生「正一?正一はね、石黒正一って顔だよ。みんなも見たらわかるよ。正一は、石黒正一って顔だから」
このとき、たまたま私はマッチングアプリを眺めながら配信を聴いていた。そして、それとなく「石黒正一という顔て、どんな顔やねん笑」
心の中でそうツッコミを入れつつ、いま手元にある「新着一覧」を眺める。自然と私の思考は「石黒正一とは、一体どんな顔なのか?」という思考になっていた。
うーーむ、よくわからん。
しばらくして、ふとある人の写真が目にとまる。
全然、タイプではない顔の人。
今、もし私が「石黒正一とは、一体どんな顔なのか?」という思考にならなければ、気に留めることもクリックすることもなかった顔の人(失礼)。
あ〜〜なんか、石黒正一って顔してる気がする。
そう思って、なんとなくプロフィールをのぞいたのだった。
それが、まさか私の運命の出会いになるなんて
そのときは思ってもみなかった。
そう、それが今の夫である。
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拝啓、リモーネ先生。
あなたの何気ない一言で、私の人生は大きく変わりました。あの一言がなかったら、今の私はいません。今、私が見ている世界とは180度違った人生を生きていたでしょう。そして、あの一言がなかったら授かることのなかった命が、今私のお腹の中にあります。
この選択が、10年後30年後50年後、「正解だった」と思えるかどうかは、まだわかりません。
けれど、今、私は確かに幸せです。生まれて初めて、人を心から愛することができるようになりました。そのことは、きっとこの先、どんな未来が待っていようとも、人生の宝物になると信じています。
この御礼はいつか、必ず
高額スパチャにて申し上げます。
敬具
〜おまけ〜
彼とはじめて相見えたとき、プロフィール写真の「石黒正一っぽい顔」とは別人になっていた。
彼いわく5年以上前の写真を使っており、自粛生活で太ってしまったらしい。のちに謝罪を受けたのだった。ワラ