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「心癒す雨の歌楽しみたい」

「心癒す雨の歌楽しみたい」
  今年の四国は、観測史上最も早い梅雨入りになりましたが、梅雨は湿度が高くなって多くの人が不快に感じます。しかし、田植え後の苗の成長に必要なだけでなく、日常生活にとって不可欠な水の確保に大切な役割を果たしています。この時期に咲く雨の滴がしたたるアジサイに風情を感じます。


  昭和の歌謡曲には、心情を雨に託した失恋ソングが多く、年齢を重ねてから聴いても、青春時代の切なさやはかなさを、懐かしく思い出させます。雨音は疲れた心を優しく包み込んで、雨水が全てを洗い流してくれるような気になります。そして、明日からの新たな一歩を踏み出す勇気を奮い立たせてくれるのです。


  また、北原白秋が作詞した「あめふり」という童謡があります。「あめあめふれふれ かあさんが じゃのめでおむかい うれしいな ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン」。 私が小学生だった50年以上も前、そんな歌のような光景は日常にありました。


   歌詞の最後にあるオノマトペの部分は、雨を楽しむ子供の気持ちを見事に表現しています。口ずさむだけで、楽しく前向きな気持ちになります。子どもにとって、雨は良き友だったのです。梅雨の夜長、静かに雨の歌を聞きながら小さい頃を懐かしむのも楽しいと思います。


2021年6月13日 徳島新聞「読者の手紙」掲載

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