心和む蜂須賀桜 徳島の財産
うららかな休日、蜂須賀桜を見るために徳島中央公園の北側へと足を運びました。濃い紅色の花、天に向かい勇ましく直線的に伸びた枝が目に入るなり、浮き浮きとした気持ちになりました。ソメイヨシノより約1ヶ月早い開花は、春の訪れを一足早く告げてくれます。
ランドセルを背負い記念写真を撮る家族、スマホで自撮りする幸せそうな若いカップル、一眼レフカメラのシャッターを切っている仲むつまじい老夫婦など、そこは笑顔の花も満開でした。ふっと助任川に目をやると水面(みなも)に映る蜂須賀桜。ゆったりと流れる時間は心を和ませてくれます。
満開の蜂須賀桜もやがて咲き終わり、初夏にはさわやかで緑まぶしい葉桜となります。秋には落ち葉のじゅうたんを広げ、冬にはつぼみが少しずつ膨らみながら花を咲かせる準備をしています。そうして今の時期に一気にかれんな花が咲きます。このように一年中、私たちの目を楽しませてくれるのです。
江戸時代、徳島城内で藩主に愛蔵されてきた蜂須賀桜。今まで大切に保存されてきた陰には、さぞやご苦労があったと思います。そのかいあって、2017年に徳島市指定保存樹木となりました。徳島の素晴らしい財産として、守っていきたいものですね。
令和3年3月17日 徳島新聞朝刊「読者の手紙」掲載
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