久しぶりに街へ、であい、人をみる
あさごはんにカロリーメイト4本
電車の中でスマホを見ながら食べる人
斜め向かえに座るぼくのさりげない視線に気づくことはなさそうだ
ポロポロこぼさない食し方を完璧に熟知している
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駅のホーム
暑い夏の日、半袖
階段を登り改札へ向かう
ぼくの目の前に
無数の傷がついた誰かの左腕が見えた
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定期的に行く病院、薬局
たぶん前回はなかった張り紙があった
名前を呼ばれたらそこに行き座る椅子の背面に
その順番は必ずしも来た順ではなくいろんな影響で前後しますって内容の紙
熟読していたぼく
処分の内容って書いてある
何を処分するんだろうか、これは
誤字だな
言うべきか、ぼくじゃない人が気づいた時でいいか、いや、早いほうがいいよなと思った
ありがとうございますって言われた
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お気に入りの喫茶店
サンドイッチ、光る、
小さなラップ片を発見した
伝えるべきか、否か、
さりげなく伝えて光るそれを回収してもらって
何事もなかったように食べた
ぼくの好きなサンドイッチ
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広い駅の片隅、いつもは何もないスペース
今日は何か売ってる人がひとり
椅子に座ってる
大変だな
ただそこにいるのは
通り過ぎるぼく
帰り道、ぼくはまたその横を通り過ぎた
誰か買ってた
ぼくも気になってた
なんなんだろう
ぼくもほしい
胡椒餅専門店だった
知らない食べ物
ひとつ買って帰った
美味しかった
店舗がある場所を教えてもらったから
今度はそこに行くかもしれない
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ぼくは月経困難症治療薬として低用量ピルを服用している
そのための病院、そのための薬局、ごく稀な外出である
飲食店で自分は働けないなとぼくが昔から思っていた理由の一つは上記のようなミスを自分はしないでいられるかやる前から自信がなく、不安で仕方ないからなんだ
ぼくは文字を
音読するようにしか読めない
一字一字すべてを見ながら読むから誤字には気づきやすい
ぼくも気をつけるようにしているミスだ
ぼくは何事にも時間がかかる
何事にも不安で心配で常に緊張している
ぼくは仕事ができない
ごく稀な外出
とても疲れる
でもぼくは生きることが仕事だと思っているから
ぼくはちゃんと
ぼくにしかできない、ぼくがしなければならない、ぼくの仕事はしている
ぼくは人として生きている
それは誇りだ