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掌編小説 架空の話
小説家か占い師、あるいは結婚詐欺師か殺し屋にしかなれないと思うのよ、だからさ、小説家を目指そうと思うの、そこでなんだが、ぼくは君の家のねこにはなれないか、君は猫ちゃんと暮らさなくてよくなるの、ぼくが代わりに勤めるの、君って、猫、飼ってないよね?その分の給料を君はぼくに払う、それは食費、居住費、生活費になるから、すべて相殺されるって感じになるけど、ぼくは仕事をして、君は給料を出す、そんなぼくの生計の立て方、ただのヒモじゃなくて、ちゃんと仕事としてねこやる、君はねこの飼い主じゃなくて雇い主となり、飼い主にはなれないけど、猫の手も借りたい時、ぼくなら人の手を貸せる。でも君はいぬがいいのか?それならぼくはいぬにでもなれる。ただの犬ではなくて、人の形をした人並みにつかえるいぬだよ、料理も掃除も洗濯も、一緒にやるの。君が主体になって動くんだよ?君がぼくを動かすの、君がぼくに教えるんだよ、君のやり方を君の考えるきみのそれをね、ぼくはそれに付き合うよ、君がいない時も君の教え通りできるように君がぼくに教えるの。仕事として、ぼくが小説家になるまでの大事な生命線として、ぼくはきみのねこになる、あるいはいぬでもいい、人の手を持ったいぬになる。そしてぼくが小説家になったら、ぼくも人になりたい。人と人として君と一緒に暮らしたい。変わらず二人で分担しながらすべてをこなしていく、その時はぼくもぼくの考えを君に伝える、ぼくのやり方を君に教える、二人で高め合っていく。
⭐︎
ぼくはね、現実逃避夢見がち少女なおばさんじゃなくて、現実しか見てない少年なんだよ。だなんて言ったら何言ってんだよ意味わかんないよ相手にしてらんねぇよって離れていくであろうけれども、この少年がいなかったら、夢見る少女は心を奪われ現実逃避なおばさんは心が死んでいるから、この人は、君じゃない、君みたいな違う男の人と幸せに暮らしていたであろうよ。
そんなの最低だよ。ぼくは君じゃなきゃだめなのに。
君は私に自分のことを、君じゃない君みたいな人みたいに扱ってほしいみたいだったよ。
そんなの最低だよ。私は君じゃなきゃ嫌なのに。君はずっと本当の自分を隠してた。私は本当の君にあいたいのに。
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ぼくが名を馳せて君の家計の邪魔にならないように自分の稼ぎがあって経済的にも精神的にも一人の人間として自立していたらまた君の前に現れることだって許されるようになるのだろうか。ぼくはひたすらにがんばるよ。
ぼくはねこにもいぬにもなれない、わかってる、ぼくはちゃんと、ずっと人だ。ぼくはぼくの願いを実現する。君を怖がらせないで、君の喜びになることをする。君の知らないところで勝手に、君を幸せにする。ぼくのつくる幸せに、必ず君を呼ぶよ。
2.
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