6/3-掌編 誰もが通る道
名前も知らないひきこもりに背中を押されるのは屈辱だろうか
必死に積み上げてきた虚構が姿を消す悲しみはこの上ない
あったはずのものが夢みたいに消えてなくなる
誰かのせいにしたくもなるよね、誰かに責任とってほしいよね、どこにいったんだろうね、確かにあったのに、作り上げてきたのに、全部最初からフェイク
意味なんてあるわけなく
そこに捧げられた努力と
使い捨てられたごみが
何もないのに溢れる苦しみだけが、残る
だからみんな前を見ない
周りを見渡さないでいる
誰にも押されないように気をつけながら
迷わないようにと下を向き誰かのつけた足跡を辿り誰もが通る道、どんどんと広くなる安心安全な道を進み悲しみの連鎖を永遠に、
続けているみたい
行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。