主治医

父は、20年になろうかと言うぐらいのお付き合いのある主治医がいました。

腎臓透析の先生です。


けれど最後の入院にあたって

入院中の主治医は違いました。

決まったのはその下で働く若い女医さんたちでした。

実は入院中父は科を転々としました。

最初の入院時は人工透析科でした。

そのあと心不全の状態が悪くなり

循環器内科に主治医が変わりました。

なくなる直前はまた人工透析、腎臓内科に移動しました。

その時々の病状で

科が変わるのは致し方ないのかなとは思います。

ただ、父の立場になって考えてみると

腎臓透析を始める前からお付き合いのあった

部長先生に診ていただきたかったのではないかと思います。

腎臓内科も循環器内科も

部長先生ではない、

若い医師でした。

部長の先生は、そのバックでサポートするというシステムでした。

今考えても若い先生方もはとても良い先生だったと思います。

腎臓内科の女医さんは、

見かけ女子大生のような感じでしたが、

丁寧に現状を報告してくださり、

私が鹿屋で仕事の時もわざわざ携帯にお電話くださり

透析の状況

父の現状

その他もろもろ小さなことまで

丁寧に説明してくださいました。

循環器内科の先生は男の方でしたが

非常に頭の切れる方で

私の精一杯の勉強して質問していくことに

きっちり答えてくださいました。

見た目はクールでしたが、

「棍を詰めないように。」と、さりげなく声をかけて去っていかれるなど

優しさを感じる方でした。

けれど、やはり父の身になって考えると

長いお付き合いのあった透析主治医に診て欲しかったのだろうと。

看取って欲しかったのだろうと思います。

何度か病室に足を運んでくださいましたが、

やはり担当領域を意識していたのか特に後半深入りすることはありませんでした。

ものも言わなくなった、笑顔のなくなった父を見て

逃げるように病室を出て行った

後ろ姿を今でも思い出します。

先生も一人の人間であり、

長いお付き合いの中で

変化していく父を見るに忍びなかったのだろうと

今は思うのです。

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