浅はかで愚かで馬鹿だ
あの頃の記憶を掻き分けてここで息をしている。遠い昔になってしまったあの日の記憶で息が詰まる。きみが生きた数年は、誰かの承認欲求にまみれた言葉に殺され生身の身体がここに転がっている。きみは、生きててえらいだなんて浅はかで愚かで馬鹿な言葉だと言った。矢継ぎ早に息を吐き、記憶の中のもういないあの人をきみが遣うはずのない汚い言葉遣いで漫罵した。もう誰も好きになりたくないなんて泣いているきみは、情けない期待をして今日も生きてしまったと喚いた。だいすきだよと譫言を言ったきみの頬に一筋の涙が光る。それを見ていたぼくはどうにもやるせない気持ちになった。
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