自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性ぐらい
自分で守れ
ばかものよ
茨城のり子という詩人が書いたひとつの詩である。
「自分の感受性くらい」
1926年に大阪で生まれ、1945年に19歳で終戦を迎えた。
戦時下で体験した飢餓と空襲の恐怖が、命を大切にする茨木さんの感受性を育んだ。
戦争を経験した方でないと、言葉で表現することができないのではないかと思わせるような、言葉の重みが私には伝わった。
私は、これまでの人生で、それほどの辛い経験をしたことがない。
今後、そういった経験に直面するかもしれない。
この詩に出会ったおかげで、今後辛い経験があろうとなかろうと、
"自分の人生なのだから、自分らしく生きよう
という考えを大事することができると思う。
周りの環境のせいにするな
他人のせいにするな
常に自分に矢印を向けて、考えることが、人としての成長を続ける秘訣なのだと思う。