2016年の週刊文春
「2016年の週刊文春」を読み終えましたが,とても面白かったです.
今こそ圧倒的な存在感を誇っている週刊文春ですが,戦後に創刊されてから現在に至るまでの歴史が,その時々に日本で起きた出来事と重ね合わされながら編集者目線で描かれています.時には訴訟と闘い,時には命を危機にさらしながらスクープを断行したりと,「編集」の仕事の裏側をリアルに知ることができ,とても興味深かったです.
スクープは訴訟リスクが高く,かつビジネス的に不安定 (当たる時とそうでない時の差が大きい) なため,多くのメディアがスクープから撤退しています.思い返せば 10 年前くらいまではスクープのことを「FRIDAY される」と言ってた記憶があります.それが今では多くの週刊誌はシニア向けコンテンツに舵を切ってしまいました.しかし文春は撤退せずに使命としてスクープをやり続け,その結果「文春砲」という名とともに現在の 1 人勝ちの状況を作り上げました.週刊誌マーケット自体は年々縮小し続けていますが,その中でも文春は発行部数でトップを維持し続けています ( 参考 ).
文春がスクープを続ける背景には,日本のメディアの弱さがあります.メディアの役割は「権力の監視」と謳われつつも,日本のテレビ局は政府の許認可事業なため政府の批判をしづらく,かつ新聞社もテレビ局と資本関係にあるため同様の状況に陥っています.なので文春のように,右にも左にも傾いておらず,かつ政府とも癒着していないメディアの存在は非常に重要なように思います.ちょうど先日もオリンピック組織委員会からの発売中止要求に以下のような回答をしており話題になっていましたが,このスタンスこそが国民から信頼を勝ち得ている理由なように思います.
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