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命についてとりわけ考える日に。
1995年1月17日。わたしは来週1歳の誕生日を迎えるところだったらしい。その時にわたしは寝相が悪く両親の頭の上で寝ていたらしく、ひっつかんでとっさに抱きしめた、というのは後から聞いた話。池田や宝塚で仕事をするようになると、この日の話は色んな人から聞くことになる。小学校の6年生の時の担任の先生は、神戸の実家で被災したそうで、授業の一コマを使ってその時の話をしてくれたのを覚えている。
2021年1月17日の子猫
朝はすっきりと目が覚めた。ここ一週間で一番いい目覚めで、立ち上がって「はあ、今日はすっきり起きた。」と、一人ででかい声で言った。それくらいすっきりと目が覚めた。
起きたとたんからほっけ(♀)がやたらと甘えモードですり寄ってくる。もしかしたら、と思い、シャワーを浴び、出勤の準備をするが、ほっけもこんぶ(♂)も逃げてつかまらない。オカリナのレッスンがあったので、店長に電話をして、家に来てもらって、出勤することにした。
レッスンをしているうちに店長から電話があり、「もうすぐや」とのこと。レッスンはとりあえず最後まで終わらせて、いつもはコーヒータイムなのだがそれをやめにして、「ほっけ出産のため午前休みます ルークカフェ」の張り紙をして家に帰る。
ほっけの甘えたがマックスになっており、もうここで産ませましょうよ、と言ったのだけれど、「とりあえず出勤しろ」ということになったので、ほっけもこんぶも連れて出勤。
店につくと店長と産箱づくりをして、備える。お客さまもきて、忙しくなって、13時。猫を見ると破水らしき、液体が出ている。
わたしは今日、15時から宝塚のレインボースタジオで、コロナ禍のおかげで中止になったオープンジャムの代わりに、生配信をする予定だったが、「行けるかわからない」と店長の大ちゃんに伝える。
破水から一時間。14時、陣痛がピークに達する。一匹めの頭が出たり引っ込んだりする。とにかくほっけをなでる。こんぶも横で心配そうに見ていた。
そこからは時間の感覚はほぼなくなった。時計を見る間もなく、とにかく一匹めを出すことを考える。主治医のウィン動物病院の永山先生も駆けつけて下さり、一匹めがほぼ出てきて、取り上げた。
右手の感覚は不思議なもので、生き物を触っているというより、水風船をつかんでいるような感じだった。変な感覚。生きてるのか死んでるのかわからん。でも動いている。でも泣いていない。そんなことで、半分パニックになったわたしは、店長に向かって「片足つかんで、はたいてください」と叫ぶ。「お前息してるねんから、そんなんいらんやろ」という店長の横で、ダメダメ!と叫び続けるわたしに、ウィン先生が、「泣いてるから大丈夫」と教えてくれた。わたしのファゴットの調整用の木綿糸を出してきて、へその緒を切った。
とにかく人間に取り上げられほっけが怒っていたのでほっけに一匹めを返す。あと二匹いるのか。と思うと気が遠くなったが、また陣痛が来て一匹生まれた。この子はするっと出てきた。
二匹ともこんぶと同じ柄だったので、ちょっと可笑しかったが、元気そうで何よりと一安心。ほっけもお乳をやって舐めてやっている。そのころには応援団のお客さまも来られていたので、コーヒーを出したりしていたが、どうもほっけに陣痛が来ているようで、とりあえず全部出し終わってから、見てみると、一匹多い。三匹目がいた。
これもこんぶと同じ柄だった。しかし、先の二匹に比べると、なお、こんぶみたいな柄だった。二匹目で先生にノウハウを教えてもらっていたのだが、結局先生に任せる。
猫が生まれたら
①子猫の口の中の液体をぬぐってやる
②胎盤とへその緒を切る
③糸で縛って止血する
④とにかくその間さすってやる(蘇生)
そんなこんなで全部終わったのが16時。少し落ち着いたのが16時30分。レインボーの配信に一瞬出演するが、店長の「三匹目、乳吸ってない」という非常事態に、離脱し、哺乳瓶と注射器とミルクを猛ダッシュで買ってくる。
三匹目にかじくんがなんとかミルクを飲ませ、復活。とにかく疲れたので寝て、店を片付け、家に連れて帰ってきた。
一号機、ひらめちゃん99g
二号機、かさごちゃん108g
三号機、さよりちゃん97g
とにかくみんな元気。ほんっと良かった。ほっけも子どもたちも、そしてこんぶも店長も、みんな頑張った。
明日から2月いっぱいくらいまで、お店にみんなで出勤するので、見に来てね。
今日のほっけとこんぶちゃん
こんぶは本当に偉かった。ずっと隣で付き添いしていました。こんないい子にいつ育ったんやろう?やっぱりわたしと店長の教育のたまものやな。
こんな暗い未曽有の世の中なのに
今月固定の仕事がコロナで全部なくなって、三月の演奏会もできるの?とか、あーだこーだと言われて、やっべえまた窮地かよと思ってたんだけれど、こんなに明るいことってないよ。本当に。しあわせかよって本当に思っちゃって。なんか、前向きになれる。もともと前向きなんやけど、確信のある前向きのあったかさみたいなのを手にした気分。頑張らねば。頑張れ、わたし。