つぶやき:面会交流や養育費に関する日本のデータへの感想
「親の離婚を経験した子どもたちにとって、面会交流等の有無がどのような影響を与えているか」といったデータが日本ではほとんどない、と長年言われてきた。法制審議会で親権や面会交流、養育費等のあり方について議論され、社会的にも関心が広がってきたこともあり日本での調査を目にすることも出てきたが、「果たしてこのデータを基に議論ができるのだろうか」と考えてしまう。
米国の本等を読んでいると、面会交流の回数によって子どもの精神の発達や親子関係にどのような影響があるのか追跡した調査結果等が出てくる。以前読んだ資料の中に、「月1回の面会交流では子どもの葛藤や不安感は高くなる傾向があり、頻繁に交流することにより安心感や安定を感じるようになる」といった記載があったのを覚えている。それらを元に隔週や年間100日といった面会交流の頻度が提唱されるようになったと。研究によって異なるのかもしれないが、そこでは全く会わないよりも月1回の方が葛藤が高くなるようなグラフになっていたのを意外に思った記憶がある。
翻って日本を見ると、面会交流を行っている家庭でも、1か月や2か月に1回2時間程度のことが多い。この頻度だと、下手をすると葛藤や不安をより抱えることになってしまうかもしれない。「子どもが面会交流をすると不安定になる」という声も時折聞くけれど、このこととも一部関連しているのだろうか。
そのような状態で面会交流が子どもに与える影響について調査し、どれくらいのことが分かるのだろう。「離れて暮らす親に会っていない子と面会交流していた子との間に有意差はない」との結果を出している報告もあったけれど、あまりにも欧米との調査結果と違い過ぎて首をかしげてしまう。日本ではまだ少ないけれど、年間100日程度自由に双方の親に会っている子どもたちとの比較等をする必要があるのではないかと思う。おもてに出ているデータからはそのような調整が行われたのかどうか分からなかった。
養育費に関していえば自己申告制で、養育費が増えれば収入増とみなされ行政からの支援も減っていく。正確な額を申告するインセンティブはあまり働かないようにも思う。そのような状態でどれくらい正確なデータが得られているのだろうか。
日本におけるデータ収集や調査は非常に貴重で重要だと思う一方、そもそもそれらのデータを取ることができる基盤があるのだろうかとよく考える。