Pigmon

新聞記者、英国留学を経て某局TVディレクター、フリーライター。日々の取材メモなどをつづっていきたいと思います。

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最近の記事

別居・離婚後 会おうとしない/会わないものと思っている親

別居、離婚後の子どもの話になると、「会えない別居親 と 会わせたくない/会わせられない同居親」の話が多い。だが、ひとり親支援団体の人たちの話を聞いていると、 ・会わせたい同居親 と 会おうとしない別居親 ・そもそも離婚したら別居親と子どもは会わないものと思っている(同居親も別居親も) 人たちも非常に多いそうだ。 離れて暮らす親が会いに来ないことをそれほど気にせず、同居親や親戚、地域の人たちに囲まれて元気に成長する子もいれば、「自分が悪いから親は会いに来ない」と自分を責める子

    • 「いつか牙むくよ」

      親権や面会交流の問題を取材し始めて10年近くになると、取材当初は子どもに会えなくなってボロボロになっていた方のところに数年後、子どもが自分から戻ってきた、という話を時折聞くようになった。 DVや高葛藤、「子どもが会いたくないと言っている」等を理由に(真相は分からない)面会交流を拒否され、心身ともに打ちひしがれた状態になっていた姿を覚えているだけに、「会えるようになってよかった」と思う一方、複雑な思いも感じてしまう。 会えなかった数年は大きいものだし、その間子どもたちはどの

      • つぶやき:面会交流や養育費に関する日本のデータへの感想

        「親の離婚を経験した子どもたちにとって、面会交流等の有無がどのような影響を与えているか」といったデータが日本ではほとんどない、と長年言われてきた。法制審議会で親権や面会交流、養育費等のあり方について議論され、社会的にも関心が広がってきたこともあり日本での調査を目にすることも出てきたが、「果たしてこのデータを基に議論ができるのだろうか」と考えてしまう。 米国の本等を読んでいると、面会交流の回数によって子どもの精神の発達や親子関係にどのような影響があるのか追跡した調査結果等が出

        • 支援の難しさ

          先日共同養育関係で取材したお母さんから話を聞いた際、支援の難しさ、そして長い目で見た支援の重要性というものを改めて考えさせられた。 この方は元夫のDVを理由に子どもを会わせたくなかったものの、裁判所で月1回の面会交流が決まり、ものすごいストレスを抱えながらも元夫に子どもを会わせていたという。面会交流支援団体の方から「会えるようにしましょう」と半ば強く(?)言われ、「なぜ会わせなくてはならないのか」と反発し、吐き気や頭痛等体調を崩すことがありながらも「裁判所の決定には従わなく

          本「ぼそぼそ声のフェミニズム」から抜粋

          「ぼそぼそ声のフェミニズム 栗田隆子著 2019年 作品社」から気になった一節を抜粋 「組織」に向き合う (p96,97) (「女性と貧困」関係の活動に触れ) 「(略)個人より組織の維持を考えれば、途端に運動は強者のためのものとなる。それゆえ、組織について私はますます考えざるをえない。内部で声を抑圧することのない組織とはどのように作ったら良いのか。 (略)女性たちが、声を出すこと、自分たちの差を尊重し、批判があったときには声を潰さず、声を聞き分裂しないやり方を、私たちが

          本「ぼそぼそ声のフェミニズム」から抜粋

          【覚書】別居・離婚した親子を取り巻く現状

          【離婚した親子を取り巻く現状】 ・ひとり親世帯の相対的貧困率は5割近く。OECD加盟国中最高水準(OECD2016年) ・厚生労働省の2016年度調査によると、現在も養育費を受け取っている母子世帯は24.3%、父子世帯は3.2% ・同調査によると、離れて暮らす親と定期的に面会しているのは母子世帯で29.8%、父子世帯で45.5% ・面会交流の取り決めを行わなかった理由のうち、「相手に関わりたくないから」が37.9%で最多。「相手に身体的・精神的暴力や子どもへの虐待があっ

          【覚書】別居・離婚した親子を取り巻く現状

          親の離婚を経験した子どもに聞く「単独/共同親権?」

          2021年に入り、法制審議会家族法制部会で「離婚後の親権のあり方」などをめぐる検討が続いている。 現在の日本では、離婚後は片方の親のみが子の親権を持つ「単独親権制度」だが、離婚後も双方の親が親権を持ち、子の養育に関わり続ける「共同親権制度」を導入(選択的/原則的など)するかどうかが審議会での大きな焦点の一つとなっている。 国内では共同親権推進派と慎重派の間で対立が続いているが、親の離婚を経験した子どもたちは親権のあり方についてどう見ているのか。 ひとり親環境で問題を抱え

          親の離婚を経験した子どもに聞く「単独/共同親権?」

          「子どもの福祉」「子どもの最善の利益」という言葉

          離婚後の子どもの親権や面会交流などの取材をしたり、関連書物を読んだりしていると、「子どもの福祉」「子どもの最善の利益」という言葉を頻繁に目と耳にする。行政、裁判所、弁護士、争う親同士の間など。 それぞれが「『子どもの福祉』『子どもの最善の利益』のため」として主張を展開するのだが、親の離婚を経験した子ども自身に聞いてみると、この言葉の印象は非常によくない。 ある男性は言う。 「子どもにとっては親は争わないのが一番なんです。『子どもの福祉』 のためというなら、じゃあ争わずに

          「子どもの福祉」「子どもの最善の利益」という言葉

          子どもの意思

          先日、離婚後の子どもの親権関係の取材にて。 離婚家庭の子どもたちをサポートするNPOの方に、離婚時の「子どもの意思」について尋ねた。両親が調停や審判、裁判等で親権を争う際、家裁調査官が「父と母、どちらと住みたいか」を子どもに尋ねることがままある。 「子どもが一番望むのは両親と一緒に暮らすこと。その選択肢が最初からないんですよね」と。 どちらかを選びたくなくても現在の単独親権制度下ではどちらかを選ばざるを得ず、一緒に暮らせなくなった親とは関係が分断されてしまうことも少なく

          子どもの意思