靴下の穴
「ホリデー」と刺繍の入った靴下。
何年か使っていたけれど、先日のイースターホリデーが終わった時に、偶然穴が開いた。
ホリデーの終わりを告げるかのような親指の穴を、私は珍しく早く縫った。
ホリデー靴下に穴が開くのはどうも放っておけなかった。
縫うのは下手なのだけれど。このついでにボタンがとれかったまま一冬を終えたウールのコートと、夏物の生地が薄いカーディガンがどんどん裂けていっている肩周りも、これからの季節に備えて縫った。
時にはメンテナンスデーも大事だなと思った。
今日は植物の葉っぱをきれいに拭いて、水吹きしてあげたい。
さて、靴下の穴。
私は、靴下の穴が開いている人を見ると嬉しくなる。なぜだろう。
以前、家探しの内見をした時、案内してくれたハウスメイトが、とてもチャーミングで素敵な人だと思ったのは、流暢な言葉で案内する、気遣いの上手な彼の後ろ姿に、靴下の穴を見つけてしまったことも一つ大きな理由だと思う。
イギリスに来てから、靴下の穴が開いている人が多い気がする。
いろいろ壊れても、そのままになっていることも多い国だから、靴下の穴が開いたままになっているのもあまり気にならないのかもしれない。
すぐ捨てちゃったりするよりは、気にせず履いているぐらいの方がいいよね。
靴下の穴が開いてるのを見られるのは恥ずかしい、と思っていたところがあったから。
靴下の穴が開いている人は、抜けているような、気楽な、そんな感じにすら思えてくる。初対面でとても素敵で恐縮しちゃっても、靴下の穴を見ると、この人はリラックスして大丈夫そうだと安心感に変わるのである笑。
お家におじゃました時に、完璧すぎず、いつもの家のままって感じで迎えてくれるとなんか嬉しくなるのと似ているのかも。
普段なんでも頑張る一生懸命な人も、抜けてるところを見せてくれると、心を許してくれていると思えるような、そんな感じ。
そういえば。日本では珍しくない5本指ソックスは、イギリスで履いているとよくツッコミを受ける。
私の元ハウスメイトのイギリス人は、階段ですれ違う時「Nice socks!」と言っていつもニヤリとしていた。
5本指は面白いのだろうか。
以前、健康診断の体重計に乗るとき、ついうっかり5本指ソックスで行ってしまった。
靴を脱いで体重計に上がる瞬間、5本指に間違いなく気付いたと思われる検査のお兄さんが何か言いたそうに堪えたのは気のせいではなかったように思う。
私は足袋ソックスも時々履くけれど、これもきっと面白いんだろうな。
ちなみにこのホリデーソックスは、靴下屋のもので、一週間もののシリーズになっている。
今はたんすに十分靴下があるので、なかなか買わないだろうけれど。穴を縫いながらでも、いつか一週間揃ったら嬉しいななんてちょっと思ってる。