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詩| つくりあげた夢幻
湿った風が 乾いた心にそっと潤いをあたえる
すくいあげたソレは
手のひらのなかで どこにも行けずに
あの日の僕のようにうずくまっている
君の声を探してる もうずっと
最後に聞いたあの声が くりかえし抉るように
思い出を引き裂いてくるから
残ったものは なにひとつないように思えた
身震いでたまらず息をはく
小さくできた不規則な白の空間は
一瞬で消え去ってしまう
顔をあげるのに ほんの少しの勇気が欲しい
耳だけは 君の声を探しているのに
最後に聞いたあの声を くりかえし忘れたふりして。
幻想の思い出をつくりあげてしまいたい
湿った風が
・・・ああ、風などなかった
乾いた心は そのままだった
すくいあげたはずのソレもすべてまぼろしだった
あの日の君の悲鳴のような哀しみだけが 現実だった
それだけが 現実だった