詩| 虚空
手を伸ばして
ほんの少しだけでいい
あなたの悲痛を教えて
小さな、だけど深いその思いを
声を聞かせて
少しの音量でいい
あなたの陰を見せて
黒よりも黒いその深さに
吞み込まれてもいい
分かち合えるなんて思ってもいない
何に怯えているの
誰に怯えているの
何があなたの足を止めたの
誰があなたを閉じ込めてしまっているの
手を伸ばして
指先だけでもいい
弱々しく握るその手の中の
あなたの糧を見せて
声を聞かせて
灼けてしまって爛れているその思いを
どこかに望みはあるのだと
振り絞る声は
確かに届くから
私のこの手が指先が思いが光が
あなたの、道筋も見えないその焼け野原に
辿り着くから
辿り着くから