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ポケモンSV「ゼロの秘宝」感想
2023/12/23 更新分
裏でちょこちょこ遊んでた「ゼロの秘宝」を一応ストーリークリアまで進めたので今日はその感想を書こうかと思う。
今回は対戦環境やシステム面にはあまり触れずどちらかというとストーリー部分の比重が高め。
(これは自分がレギュレーションD以降ランクマを潜っていないため今の環境がわからないからである)
今回はガッツリネタバレするのでまだ最後までプレイしてない人はブラウザバック推奨(一週間以上経ってるしあまりいないかもだけれど)
ポケモンSVのストーリー面の特徴といえば個人的には「明確な悪役」が存在しない点にあると思ってて、
「天才故の孤独」を感じるネモはもちろんのこと、ペパーやコライドン(orミライドン)が傷ついたのも家族や同族との関係悪化によるものだし、学校のギャングとして恐れられていたボタン率いる「スター団」も、その実情は元いじめられっ子たちのレジスタンスだ。
厳密には「悪役たちが去った後の話」で、彼ら3人と一匹の挫折などの大きな経験は主人公が関わる前の話で、本編で主人公と彼らが出会うことでその傷が癒えていくという内容だったようにおもう。
強いて悪役を挙げるなら博士(オーリム・フトゥー)になるのだけれど、本編中ではすでに行方不明だし、ラスボスを担う博士AIも主人公たちとはむしろタイムマシンを止めるための協力関係にある。
「スター団」関係の、本来のいじめっ子や問題をもみ消そうとした元教頭たち教師陣も既に学園を去った後だ。
いわば戦後の敗戦処理みたいな内容の物語となっており、
個人的には「NARUTO」みたいだなって感じている。
あっちは敵役は出るけれど元を辿れば殆どが何かしらの被害者で、ナルトが関わることで彼らが救済される話なので。
で、「ゼロの秘宝」に話を移すのだけれど、本編が「主人公による救済」の物語だったのに対し、今回の追加コンテンツはその反対の「主人公に関わってしまったばかりに狂ってしまった」物語なのかなと。
本編は主に主人公と、姉ゼイユ、そして弟スグリの兄弟の3人で物語が進む。
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前編「碧の仮面」では
偽りの言い伝えによって迫害されていた鬼さま(オーガポン)を3人で救済するという劇場版ポケットモンスターチックな物語と、その裏で心優しくバトルが大好きなスグリが、主人公と出会ったことで己の無力さに撃ちひしがれ、ダークサイドに堕ちていく様が描かれる。
スグリは最初純朴な少年だったのだが、主人公が祭りの最中に鬼さまと出会ったことから次第に歯車が狂いだす。
最初はスグリの、仲間外れにされたという勘違いから始まり、次第に彼は思い詰めるようになり、徐々に2人との間に溝を深めるように。
そして最後にはバトルでも敵わず、最初は敵視していた姉も次第に主人公と仲良くなるし、挙げ句の果てには大好きな鬼さまも奪われる。
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主人公の力に憧れ何度もポケモンを鍛えては主人公に挑むも全く歯が立たないし、鬼さまのために村の人々に真実を伝えに奔走する主人公ムーブをして見事その誤解を解いて見せたとしても、結局鬼さまは本当の主人公を選んでしまう。
そして鬼さまはスグリに全くと言っていいほど靡いてないし、おそらくアウトオブ眼中だ。
バトルでも鬼さまの件でも全て、スグリは主人公に完全敗北してしまう。
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最初は憧れの存在であった主人公に好きなもの全てを奪われるという、ポケモンsv内で初めてメインキャラの挫折がここで描かれる。
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総じてスグリに「お前は主人公ではないんだよ」という事実を何度も突きつけるような内容だった。
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そして後半「碧の円盤」では闇落ちしたスグリが立ち直る過程が描かれる。
舞台をイッシュ地方の「ブルーベリー学園」へと移し、そこでスグリはただ「主人公を超える」ためだけに全てを捧げてチャンピオンまで上り詰めていた。
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しかし、バトル部のみんなを巻き込んで自分諸共追い込んでまで得たチャンピオンという地位も結局は主人公にその座を奪われてしまう。
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普通のポケモン作品だったらここでスグリは改心すると思うのだが、そうはならない。
彼は敗北を認められないのだ。
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今のスグリにとって「強さ」だけがアイデンティティで、それが主人公に敗北したと認めてしまったら全てを失うことになるからだ。
本編でのネモとのチャンピオン戦では最後皆に祝福されたが、スグリは逆に対戦後皆に見限られる。この対比がとても印象的だ。
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その直後に舞い込むエリアゼロの調査依頼。
そこで伝説のポケモン テラパゴスさえ手に入れば今度こそ主人公に勝てると盲信するスグリ。
この頃の彼はもう当初抱いていた「主人公への憧れ」も「強くなりたい理由」も忘れてしまった、ただ「主人公に勝つこと」しか考えられない悲しきモンスターと化していた。
そしてエリアゼロの奥地でついにテラパゴスをゲットし、今度こそ主人公に勝てると自信をつけるも、結局暴走させてしまい皆を窮地に陥らしてしまう。
どこまでいってもスグリは「主人公」にはなれない。
テラパゴスを引き抜く前のスグリの一連の独白がとても痛々しい。
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そしてテラスタル化したテラパゴスとの戦いを通して、自分の足で立ち上がり主人公と共に戦うことでやっと吹っ切れる(主人公への憧れを捨てる)。
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最後にスグリはもう一度主人公と友達になろうと手を差し伸べるところで物語は幕をとじる。
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ゼロの秘宝とはテラパゴスのことではあるのだが、同時にスグリの「0からもう一度やり直すという決断」のことでもあるのだ。
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総じて、憧れの存在にはどう足掻いても近づけない「無力な人間」だとか「敗者」の側を描いた物語だったように思う。
僕は当たり前だけれど「敗者」の側の人間だし、スグリみたいに結果を出している人間に追いつきたくて焦って暴走して周りに迷惑をかける...みたいな経験はしたことあるので彼の足掻き苦しむ姿に妙にシンパシーを感じてしまった。
それでもスグリは一度はブルベーリー学園の頂点に立つというサクセスを掴んでいるし、最後は主人公の「背中」を追いかけるのではなく友だちとして「横」に並び自分の道を進もうと決心することで、なんやかんや「脇役」なりの生き方はあるよという救いを示していた気がする。
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「敗者」の物語というところでなんだか松本大洋先生の「ピンポン」みたいな、そんな味わいの作品だった。
SV本編も「ゼロの秘宝」もポケットモンスターの中でこんな後ろめたい話ができるんだという感動と共に、クソガキの頃からこういう「挫折」の話に触れられるのちょっと羨ましいなぁとも思ってしまった。
どうしてもポケモンみたいなビッグタイトルのゲーム作品は「前向き」な話が多くなってしまうので。
追記:
今回の感想とは全く関係ないのだけれど、個人的には碧の円盤のpvを見た時にいかにもガーリーで可愛らしいタロの佇まいを見て、あの色んなアルファベット4文字くらいのサムシングに配慮したキャラデザで善良なキッズたちの一般▪︎▪︎を歪めることでお馴染みのポケモンsvなのだからしてきっと何かしらあると予想していた。
「そんな直球に可愛いガールをゲームフリークがお出しするわけない」と。
もっと具体的に思ったことをいうなら
「もしかして、▪︎▪︎▪︎▪︎が生えてるのでは…??」
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一度気になってしまうとそのことが頭から片時も離れない。
実際碧の円盤プレイ中、可愛らしいカーディガンに身を包んだタロの姿を見るたび下半身ばかり凝視しては、太ももと太ももとの間にあるデルタが膨らんでいるかどうかばかり考えてしまい、殆どテキストが頭に入らなかった。だって「タロ」って名前だよ…??
だが本編中最後まで性別については一切触れられることはなかった。(クリア後に語られてるかもだけどまだ見れてない)、また可愛いものが大好きという性格も今時男でも女であっても普通のことなので全くヒントになっていない。
個人的には生えていても生えていなくてもどっちでも「それはそれで一般▪︎▪︎」なので大歓迎だけれど、願うことならわからないままの方がいい。
そのほうがどちらとも解釈できるのだから。
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例のヒソヒソ話とか、主人公よりほんのちょっぴり身長が高いところで発生するほのかな「おねショタ」感も、もしかしたら通常の「お姉ちゃんとクソガキ」かもしれないし、もしかしたら「女の子然とした男の子とクソガキ」略して「おねショタ」かもしれないのだ。
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このどちらであっても良いという解釈のフリースペースが他にはない▪︎▪︎▪︎さを引き立ててくれる。
これがCERO A の、パパンとママンがキッズに安心して買い与えてそうな健全なゲームからお出しされているというのだから恐れ入る。
この絵にも言われぬ背徳感がとても、とてえも興奮させてくれる。
生えているとも、生えてないとも、そのどちらとも取れる、いわゆる「シュレディンガーのお▪︎▪︎▪︎▪︎」状態が一番グッとくるのですが、皆さんもそう思いませんか??
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