坂本の思い出映画評

映画の思い出や感想など。

坂本の思い出映画評

映画の思い出や感想など。

最近の記事

アニメーションの極地〜MEMORIES〜(前編)

「日本のアニメはすごい」 そう言われるようになって随分と経つ。 日本人特有の手先の器用さがそうさせるのか、海外アニメに見られるバタ臭さは無く、耽美で端正な顔立ちのキャラクターや細かなディテール、動きの一つ一つに魂が宿っているような細やかな動きが主な特徴とも言える。 日本で初のアニメーション作品といえば1963年に放送された手塚治虫先生の「鉄腕アトム」。 そこから約61年の間にとてつもない進化を遂げている。 鉄腕アトム放送と同時期に生まれた人も61歳だ。 61となれば相当な波

    • ガメラはレギオンを許さないから(後編)

      中学2年の冬、まだ受験に焦る年でもなかった頃。 自転車である程度距離のある場所まで行動範囲が増えた俺は、行きつけのレンタルビデオ屋にいた。 この頃からちょくちょくビデオを借りてアニメや映画を見てたから前回の記事みたいな人間になるのはある意味必然的だったのかもしれない。 何を見ようか物色していると、特撮映画コーナーに入っていた。 「たまにはゴジラかガメラでも見ようか」 いくら興味が無くなっていたとはいえ、やっぱり好きなものは好きなわけで、ジャケットを見ると見たくなってくる

      • ガメラはレギオンを許さないから(中編)

        1996年、この年俺は群馬県にいた。 というより群馬県に住んでいた。 細かい事情は省くが、父親の仕事の都合で群馬県に引っ越していた。 いきなりの引っ越し、それまで一緒に遊んでいた幼なじみとの別れ、本当に突然だった。 それと同時に母親が死んだ。 母親は小山市の病院に入院していた事もあり、最期を看取る事ができなかった。 群馬に来てからは最低な日が続いた。 俺は群馬との相性が最悪なんじゃないかと思うくらいかなりナーバスになっていた頃だと思う。 それでも今よりは能天気な頭をしていた

        • ガメラはレギオンを許さないから(前編)

          物心が付いた頃から、俺は怪獣映画が大好きだった。 初めて父親に連れられて見に行った映画は「ゴジラVSキングギドラ」だったのは未だによく覚えてる。 当時はまだシネコンなんてものは無く、あったのは地元の小さな映画館でスクリーンは一つしかなかった。 薄暗い受付、食べ物もポップコーンではなく市販のスナック菓子、劇場限定でしか売ってないゴジラのマスコットガチャガチャ。 目を閉じればその光景は今でも鮮明に思い出せる。 この頃の映画と言えば「ゴジラ」か「ドラえもん」のツートップだった。

          蛇足

          こう長ったらしく思い出を語るのはあまり良くない事かもしれない。 だけど現実の俺は悲しい事に共有できる友達がいない。 元々コミュ障で人見知りな性格が災いしてるのはわかっているが、三つ子の魂百までとはよく言ったもので、この性格だけはずっと治らない。 だからこれからは、この場所で過去に見た映画や最近見た映画の感想や思い出をつらつらと書いていこうと思う。 繋がらなくてもいい。 誰かしらにこの感覚や感情が少しでも伝わったら嬉しい。 「CURE」はこれまでの人生で見た映画のトップ5

          遅効性の毒〜CURE〜(後編)

          2005年。 俺は高校を卒業し、すぐ父親の仕事の跡を継ぐ形で就職した。 もちろん夢はあった。 でも、父親に突き付けられた現実とこれからの事を考えて、夢は諦めざるを得なかった。 昔は漫画家かイラストレーターになりたいとも思ってたけど、当時は映画に携わる世界に行きたいと思うようになっていた。 結局、夢は夢だ。 茨の道を突き進むだけの覚悟も根性も無い俺は、そのままズルズルと肉体労働の仕事に就いた。 最初は踏ん切りがつかなかったが、段々仕事内容を覚えていくうちに「そんな事も考えてたな

          遅効性の毒〜CURE〜(後編)

          遅効性の毒〜CURE〜(中編)

          ※ちょっと長いです。 2002年の冬。 いよいよ高校受験が目前まで迫ってきているこの時に、俺はもう頭の中が黒沢監督の事でいっぱいだった。 この人はどんな映画を作ってるんだろう。 あるなら見てみたい。 そればかり考えるようになって、勉強がほとんど手につかなかった。 かといって志望校に落ちてしまっては元も子もないので、7:3(映画:勉強)の割合で何とかしのぎ切って合格できた。我ながらよく合格できたもんだと自分で自分に呆れる。 受付で高校のパンフレットを貰いどんな部活があるのか

          遅効性の毒〜CURE〜(中編)

          遅効性の毒〜CURE〜(前編)

          2024年。 この一年で最も愛する映画監督、黒沢清氏の作品が3作も公開されるなんて夢にも思わなかった。 「Chime」「蛇の道」「Cloud」 どの作品も初期の黒沢作品を思わせるダークで無機質な、イケイケだった頃の黒沢節が満載ときている。 ただ恥ずかしい話、このうちまだ「Cloud」しか鑑賞できていないので気軽に「イケイケ」なんて言葉は使っちゃいけないだろうな。 それでもシネフィル達の評価は軒並み好評で、Xでフォローしてる映画好きアカウントの人は「今年ベスト」と言うほど。 俺

          遅効性の毒〜CURE〜(前編)