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プチンとするタイプのプリン

 本当ならあなた方は、プリンの上に載せるものだっていちごの方がいいんでしょう。そのうち昔ながらの苦めに作ったカラメルがアクセントになる固めプリンに、緩めに立てた生クリームとまるごとのいちごを載せては「映える映える」とスマートフォンを逆にして撮影することを私は知っているのです。
 物流が豊かになったこの時代に、あえて、まだ、私の上にチェリーを載せているのは、ただあなた方の惰性と、懐古主義および経済観念によるものだと私はもう知っています。あなた方はお金になるならなんだってする。そんなあなた方が私の上にイチゴを載せないのは、私といちごが釣り合わないからでしょう。そうですよね。こんなゼリーとプリンのあいのこのような大衆向けの私に、いちごが釣り合うわけがない。映えさせるために大きなイチゴを載せようと思ったら、下手をすると私よりいちごの方が高いんですから。そんなの、どっちが本体だか分かりゃしませんやねぇ。そう思いませんか。
 あとねぇ、私をお皿に出すとき、空気穴を開けるでしょう。ほら、プラスチックのあの棒を倒して。プチンと。子どもなんてねぇ、あれがやりたいだけなんですよ。私の味なんか分かっちゃいません。プチンと音がしたらもう食べた気になるんです。あの音が聞きたくて、あのプチンの触感を感じたくて私を選んでるんです。麻薬みたいなもんです。どうせ麻薬みたいなもんになるなら外装じゃなく、中身でなりたかったですよ。えぇ、そうです。プチンが癖になるだけで、中身じゃないんですよ。まったくやってられるかってんですよ。
 結局、私なんてプルプルして食べやすい、初心者向けのプリンなんです。カラメルだって垂れて流れていかないから綺麗に食べられますしね。ゼリーとのあいのこですからね。でもあなたがた、私のことをやれゼリーとのあいのこだの、あれはプリンじゃないだのと言いますけどねぇ、この食感は作ろうと思ってなかなか作れるもんじゃないんですよ。そこんとこをちゃあんと分かってほしいもんですね。
 まぁだから私はねぇ、私をプチンとせずに食べる大人が好きなんですよ。本当に純粋に、私の味を求めてることが分かるじゃないですか。
 ……え? なに? 空き容器を? 子どもの工作に使う? フリマアプリで? 売れる?
 ……大人ってのはすぐ金だ。
 云々。


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