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『ピエロんの「ん?」な日々』第1話:最初の違和感
朝7時、ピエロんは目覚ましの音で目を覚ました。
「ふぁ〜……眠い……」
スマホを手に取ると、なぜか画面の時計が 「ん?」 となっている。
「……え?」
寝ぼけているのか? 一度目をこすり、もう一度画面を見た。
「7:00」になっていた。
「気のせいか……」
いつものように記事を書いて、SNSをチェックする。何かネタになりそうな話題はないかとタイムラインを眺めると、フォロワーの投稿が妙に同じ内容ばかりだった。
「ん?」
「ん?」
「ん?」
どの投稿も、ただそれだけ。
「なんやこれ、バズってんのか?」
元ネタを探そうとするが、どうやら元の投稿が見つからない。全員が「ん?」とだけ呟いている。
「ま、いっか」
気にせず外に出たピエロんは、コンビニでコーヒーを買い、レジに向かった。
店員が無表情で、淡々と『お会計は○○円です』と言う。
「……ん?」
ピエロんは思わず聞き返した。
店員は無言で支払いを処理し、静かにコーヒーを渡してきた。
「……ありがとうございました?」
店員は何も答えず、ただうなずくだけ。
「なんやこれ……?」
不安に思いつつ、店を出て歩き始めた。街の看板を見ると、普段は見かけない奇妙な光景が広がっていた。
「ん?限定 50%オフ!」
「何だこれ……」
どう考えても、おかしい。看板に書かれた「ん?」の文字が頭から離れない。目をこすっても、やっぱり「ん?」が並んでいる。
「いや、マジで何が起きてるんや……?」
街を歩きながら、ピエロんは不安な気持ちを抱えつつも、まだこの時は何も気づいていなかった。
ただ、全てが少しずつ狂い始めていることに……。
(第2話へ続く)
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