糖尿病と風邪薬
糖尿病だけど風邪薬使っていいの?
という相談を受けたことがある。
基本的には、用法用量を守れば使用できるものが多い。しかし、使用できない薬剤や、服用に注意を要する薬剤があるので、その例を紹介する。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩
・多くの一般用医薬品の総合感冒薬などに、鎮咳薬として60mg程度配合されていることが多い。
・配合されている一般用医薬品の添付文書には、「使用の際には医師または薬剤師に相談すること」の欄に糖尿病が記載されている。
プソイドエフェドリン塩酸塩
・一部の一般用医薬品の総合感冒薬などに、血管収縮薬(鼻づまり等を軽減する)として135mg程度配合されている (例:ベンザブロックL、ベンザブロックLプラス)。dl-メチルエフェドリンと同様、鎮咳作用もある。
・dl-メチルエフェドリンと比較すると配合量が多いこともあり、配合されている一般用医薬品の添付文書には、「服用しないこと(禁忌)」の欄に糖尿病が記載されている。
エフェドリン系はなぜ糖尿病に使用しにくい?
エフェドリン系は、アドレナリン刺激である交感神経を亢進する。血糖値に関して、肝臓でのグリコーゲン分解を促進して血糖値を上げた後、血管収縮や心機能を亢進にエネルギーを消費し低血糖を起こすことがある。
その他、アスピリンやエテンザミドも、血液中のタンパク結合率の関係で、インスリン製剤を使用している患者さんでは低血糖が起きやすくなる。
(伊東明彦(2018)『今日のOTC薬 ー解説と便覧ー 改訂第4版』南江堂)
(バイアスピリン錠100mg 添付文書)