
中毒性表皮壊死症(TEN)
症状・分類
・ Toxic Epidermal Necrolysis (TEN) Lyell症候群ともいう
・発熱、全身に紅斑・水疱の形成、表皮壊死や剥離を生じる重篤な疾患。
・Stevens-Johnson症候群(SJS)から進展することが最も多く、TENの原因の90%
以上を占める。
・体表面積に占める表皮剥離の面積が10%未満ならSJS、30%を超えるならTEN、10~30%ならoverlapと表現される。
・境界不鮮明な小型の暗紅色、浮腫性の多型紅斑が全身にまばらに生じ、次第に多発融合する。口腔粘膜には高度びらんが出現、全身症状も見られる。紅斑は水疱からびらんとなり、Nikolsky現象を生じる。
病因
・主に薬剤摂取が原因。フェノバルビタール、カルバマゼピン、アセトアミノフェン、アロプリノールによる報告が多い。
・細胞障害性T細胞が異常に活性化し、角化細胞が急激・広範に細胞死する。
治療
・原因と思われる薬剤は直ちに中止、ステロイド全身投与に加えて熱傷に準じた治療を行う。原因と疑われた薬剤の再開は厳禁。
・初期はステロイドパルス療法は有効とされている。
(清水宏(2019)『あたらしい皮膚科学』中山書店)
<考察>
● 四肢から生じることが多い。
● 多型紅斑(EM)やSJSのうちに気付けるかが重要。