好きな人に思いきりすりすりできる喜びを描いた絵本『こねこのすりすり』 作家インタビュー
2月に発売する絵本『こねこのすりすり』。子猫のすりすりが、さまざまな動物に変身する様子を描いた本作では、好きな人に思いきり“すりすり”する喜びを描いています。
そこで本作を手がけた杉作さんとたきのみわこさんに、絵本ができた背景や猫のことについてお話を伺いました。
好きな人に思いきりすりすりできる喜びを
― 今回杉作さんにとって初めての絵本とのことですが、絵本を作ろうと思ったきっかけについて教えてください。
杉作:たきのさんから声をかけていただいたことがきっかけでしたね。
たきの:そうです。以前猫がどんどん変身する夢を見たことがあって「これを杉作さんの絵で絵本にしたら面白そうかも」と考えて声をかけました。あとはコロナ禍後に好きな人に思いきりすりすりできる喜びを描いてもらいたいなと思いました。
― たきのさんは「しろくまきょうだい」シリーズをはじめ絵本を手がけていらっしゃいますが、杉作さんにとって『こねこのすりすり』は初めての絵本ですよね。もともと絵本作りに興味はあったのでしょうか?
杉作:以前、ボクサーをしながらアニメの背景を描く仕事をしていたときに、アニメ制作の人たちが絵本を参考にしていたことから絵本をよく読むようになりました。絵本の絵は漫画よりもかなり個性的な絵が多いので刺激になりましたね。ちなみに好きな絵本はうさこちゃんシリーズ(ディック・ブルーナ作/絵 福音館)、『おつきさまこんばんは』(林明子/作 福音館)、『タンゲくん』(片山健/作 福音館)、『さよならペンギン』(湯村輝彦/絵、糸井重里/文 東京糸井重里事務所)です。子供が小さい頃は、よく絵本を読んであげました。
お気に入りのシーン
― 『こねこのすりすり』は、すりすりが次から次に変身する様子がテンポよく描かれていて、読み聞かせにぴったりだと思いました。お二人のお気に入りのシーンはどれですか?
杉作:木に変身してしまったすりすりが、不安な様子でお友達を見下ろしているシーンですね。最初はよそよそしかったお友達が寄り添っている様子も好きです。
あとは仲間たちが一緒になって、ごちゃまぜの猫になるラストシーンも気に入っています。血統書付の猫も可愛いけれど、柄がごちゃまぜの街の野良猫が一番可愛いと思います。
たきの:私もラストシーンがお気に入りです。「思いきりすりすりする喜び」の裏テーマとして、異なる種類・異なる言葉の動物に変身することで「分断じゃなくて理解し合おうよ」というメッセージを込めているのですが、それを見事に表現してくださいました。
こねこのふわふわ感ができるまで
― 杉作さんの絵について、柔らかいタッチが印象的ですが画材や描き方について教えてください。
杉作:最初はインクと色鉛筆の両方を使って描いてみましたが、色鉛筆だけ使う方が発色が良かったので今回初めて挑戦してみました。動物のふわふわした感じを出すために、色鉛筆で塗った線を消しゴムでぼかしています。幼児向けの絵本は主線がしっかりしている絵が多いのですが、ふわふわ感を出しつつも、主線を認識できるように、しっかり線を描いた後で紙が千切れる寸前まで消しゴムをかけています。
― 『猫なんかよんでもこない。』をはじめ猫が登場する作品をたくさん手がけていらっしゃいますが、杉作さんにとって猫はどんな存在ですか?
杉作:子どもの頃から色々な動物を育ててきましたが、以前は犬派でした。猫は気まぐれで呼んでも来ないので、むしろ苦手で……。ただ当時一緒に住んでいた漫画家の兄が拾ってきた猫の面倒を自分がみることになって。つねに猫がいるから家を空けるような出張の多い仕事ができなくなって、そこから猫の漫画を描くようになって……と猫で運命が変わりましたね。
拾ってきた猫の面倒をみるようになってから、傍らには必ず猫がいます。今も団地で拾ったキジ猫のもんちゃん(メス)と、仕事場の近くで出会った地域猫で黒猫のポンタ(メス)と暮らしています。
―最後にお二人から読者へメッセージをお願いいたします!
杉作・たきの:大好きな人とすりすりしてください! 変身しちゃうかもね!
リズミカルな言葉で読み聞かせにピッタリな絵本です。 お手にとってご覧ください!
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