ボローニャ・ラガッツィ賞授賞式随行レポ②
いざイタリアへ!~ボローニャ散策の話(3/4~5)
●出発 3月4日(土)
自社ブースで販売予定だったサイン会用の本が、税金の関係で販売できないことがわかったり、なかなか詳細が決まらないイベントがあったり、スピーチ原稿の英訳に間違いがあり修正を依頼したり……前日までばたばたと準備に追われ、いよいよ3月4日(土)11時30分、羽田空港からボローニャに向けて出発となりました。
ボローニャに行ったメンバーは、坂月さん、弊社の社長と会長、国際部のアジア版権販売担当のSさん、版権買い付け担当のOさん、編集部の私、そして、一足先に出発したヨーロッパ版権販売担当のHさんの総勢7名でした。
まずは、乗り継ぎのドイツ ミュンヘン空港まで約14時間のロングフライトでした。
このフライトで一番心配だったことは「乗り継ぎの時間が1時間しかないので、着陸したらとにかく急いで降りて下さい」と、搭乗前に受けていたSさんからの厳命でした。特に、坂月さんと私は後ろのほうの席だったので大丈夫かなぁと心配でしたが、さすがルフトハンザ航空! 予定より1時間ほど早く到着しました。
飛行機を降りてから、坂月さんが長時間のフライトにもかかわらず「窓から外の景色や、翼が見えて、とても楽しかったです」と言ってくれたので、窓際の席が取れて良かったぁーと心から思いました。
ちなみに坂月さんは、この往路、機内の窓から見えたオーロラを見事にカメラに収めていました。
こちらの坂月さんのボローニャレポからオーロラの写真が見られます。
https://sakatsukifish.fanbox.cc/posts/5435282
写真といえば、坂月さんは他にも空港で目にした機体や働く車たち、何かの機材が格納された扉、壁に付いている何かのボタン、券売機や案内表示板など気になったものをたくさん撮影していました。ガジェット感のあるものが目につくようでした。
ミュンヘンを経由してさらに空路で1時間30分ほど、目的地のイタリア ボローニャ空港に到着しました。そこからさらにモノレールに10分ほど乗りボローニャ中央駅近くのホテルに辿り着きました。
現地時間3月4日(土)21時30分頃。日本との時差はマイナス8時間。駅からホテルに向かう途中、石畳の道でスーツケースが、がたがたと軋んだ際に「ああヨーロッパだなぁ」と実感しました。長い移動の1日でした。
●3月5日(日)
ボローニャ滞在 1日目。
ボローニャブックフェアは6日(月)から9日(木)までの開催なので、この日はブース設営などの準備の日でした。
とはいえ、坂月さんと私は設営準備要員から外れているので、ボローニャの街を散策することに。
まずは、街の中心にあるマッジョーレ広場を目指すことに。ボローニャの街はマッジョーレ広場を中心に旧市街と呼ばれるエリアが広がっています。ホテルから、旧市街エリアはだいたい徒歩で移動ができるコンパクトな街という印象でした。
街に出てまず目についたのが、建物から張り出した天井とそれを支える柱が歩道沿いにずらっと並ぶ光景でした。これは柱廊という建築物で、イタリア語では「ポルティコ」というそうです。
旧市街の歩道の至るところにボルティコがありました。こんなにたくさんポルティコがあるのはイタリアでもボローニャだけで、ボローニャといえば「ポルティコの街」として知られているそうです。
実際、ホテルの前から、広場までほぼポルティコの下を通って行くことができました。
ポルティコ沿いに並ぶお店を見たり、フリーマケットのような出店を見たり、建物と建物の間に設けられた大きなりっぱな扉を見たり、公衆電話を見たり。坂月さんと私は、「何でしょうね?これは?」「何かすごいですね。何でしょうね」「何て書いてあるんですかね」「何かわからないけどすごいですね」と、だいたいそんな感じのゆるっとした感想を述べながら、目的地まで歩きました。
到着したマッジョーレ広場は日曜日ということもあり、何かのイベントが行われており、たくさんの人で賑わっていました(後日、マラソン大会のゴールだったことがわかりました)。結構な音量で、音楽や実況放送も流れており、ちょっとうるさいくらいの賑やかさでした 笑。
さて、坂月さんといえば、しばしばインタビューなどで「塔が好き」と発言されています。なので、マッジョーレ広場の近くにあるボローニャ名物「2つの斜塔」の見物は外せませんでした。
そびえ立つ2つの斜塔を目にした時は、私もテンションが上がりました。高いほうが約97メートルのアジネッリの塔、低いほうが約48メートルのガリゼンダの塔。
アジネッリの塔は、登ることもできるらしいので塔の入り口付近まで行ってみましたが、係員が何か言いながら人の列を整理していました。どうやら、すっと入って、すっと登れるわけではないようでした。結局、塔の中のことや、入場方法がよくわかならなかったので、後日、ガイドさんと一緒に来ようということになりました。
余談になりますが、塔といえば、今回のボローニャ行きの発端となったラガッツィ賞受賞作『坂月さかな作品集 プラネタリウム・ゴースト・トラベル』に「塔に登る」という漫画が収録されています。
「塔に登る」は、当初、坂月さんが小説として書いていた作品でした。作品集を制作するにあたって、坂月さんから「塔に登る」の漫画を描いて収録したいというお話をうかがい、それはぜひ見てみたいと執筆をお願いした経緯があります。作品集の核となる作品の一つで、個人的にも大好きな思い入れのある作品です。
坂月さんに塔の漫画を描いてもらい、数年後、その漫画を収録した作品集がきっかけで、2つの斜塔がシンボルの街ボローニャに来ることができました。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、何か「塔の縁」のようなものを感じずにはいられませんでした。
『坂月さかな作品集 プラネタリウム・ゴースト・トラベル』収録「塔に登る」はこちらで、第1話を公開中です。
https://comics.pie.co.jp/series/hoshitabi_pgt/
2つの斜塔を後にして、この日のもう一つの目的地 Museo di Palazzo Poggi(読み方がわかりません)という博物館に向かいました。博物館のあるエリア一帯は、ヨーロッパ最古の大学であるボローニャ大学があった場所で、今でも大学として使用されている建造物がたくさんあるそうです。博物館もその一角にありました。
科学研究のための貴重なコレクションを展示する博物館で、生物の剥製や人体模型、植物画の版木、古い実験道具、船の模型、はたまた日本の鎧兜まで陳列されていました。フラッシュなしなら写真撮影もOKでした。
イタリア語で書かれた展示の説明文は理解できなかったのですが、テーマごとに分けられた展示室は美しく、タイムスリップしたような没入感が味わえる素敵で不思議な空間でした。坂月さんにも気に入ってもらえたようでした。
この博物館をお薦めしてくれたのは、以前、お仕事をご一緒したボローニャ在住のイラストレーターのだよしこさんでした。やはり絵を描く人は、絵を描く人が好む場所がわかるんだなぁと思いました。
聞いてみてよかったです。のださんありがとうございました。
ちなみに、ボローニャ散策には、こちらののだよしこさん作のマップが役に立ちました。ボローニャにいる間、ずっとポケットに入れていました。(2019年に制作したものなので変わってしまったお店や情報もあります)
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000614/4000615/4000658.html
→【第3回】 現地コミック作家さんとの交流会&「ひゅーひゅーやんや」な授賞式につづく