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1日1色、ヨーロッパの色をめぐる小さなビジュアル図鑑
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美しい自然や風土が生んだ色、画家たちが愛した色、テキスタイルやファッションの色……、ヨーロッパのさまざまな伝統色の名前とその由来を、1日1色ずつ旅するようにめぐる手のひらサイズの小さなアートのビジュアル図鑑です。欧米の伝統的な色彩事典や関連資料から、特に古い歴史をもつもの、現代でも慣用的に使用されているもの、イマジネーションに溢れた面白いものなど、さまざまな観点を総合的にふまえて366色を選び出しました。366色全てに、美しい写真とCMYKやRGBなどの色彩の数値データを付した大ボリュームの決定版です。
パイ インターナショナルのアートブックから新しいシリーズが誕生しました!2024年12月13日に発売した、手のひらサイズの小さなアートのビジュアル図鑑『366日ヨーロッパの伝統色図鑑』を紹介します。
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1日1色ずつ旅するように月毎に366色紹介していきます。さらに「画家の名前」や「神話や聖書」などテーマ別の色名紹介、巻末には色名索引や人名索引も掲載。コンパクトながら参考資料としても重宝する1冊です。
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「オーロラ」とは、朝もやが消えてほのかに明るくなった夜明けの空に見られるような、やや黄みがかった淡いピンクである。古代ローマ神話における曙の女神アウロラに由来し、夜が明け始める頃の空を徐々に暖かく染めゆく色みを表す。日本の「曙色」や「東雲色」にも近い色である。
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「ジョンキーユ」とは、南ヨーロッパ原産のキズイセンのこと。工芸史の黄金期となったロココ様式の時代、1755年にセーヴル焼の王立製作所で開発された新しい釉薬の黄色にはこの花の名が付けられた。暖かみのあるはっきりした黄色である。19世紀には、合成顔料の開発・実用化によって鮮やかな黄色が得られるようになり、「ダファディル」という別種の水仙や「ダンディライオン(タンポポ)」などに名を借りた新たな黄色の色名がいくつか登場する。
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「メイデンズ・ブラッシュ」は、少女の紅潮した頬のようなうっすらとした赤みや淡いピンク色。色名としては17世紀半ばに登場し、現実に近い生身の赤みが感じられる色である。一方、実際よりも透明度が高く理想化されたような肌色には「フレッシュ・ピンク」という19世紀後半の色名がある。さかのぼって中世には、うっすらとした赤みやピンクの肌色について「妖精の太もも」や「尼さんのお腹」といった空想の産物ともいえるような表現もあった。こうした奇抜な色名は、ロココ文化全盛の18世紀に享楽的な雰囲気のパリで息を吹き返したという。
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「ポンパドゥール」とは、フランス国王ルイ15世の公妾で、ファッションリーダーだったポンパドゥール夫人にちなんで1889年に発表された青の流行色である。夫人は青とピンクを好み、青い馬車に乗るときはピンクのドレスを、ピンクの馬車に乗るときは青のドレスを身に付けるなどして、国王の気を惹こうとしたという逸話が残っている。
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スミレの花のような色を「ヴァイオレット」という。スミレは春の使者とされ、古代ギリシアでは、よみがえる大地のシンボルであった。この色は、合成染料モーヴの開発を機に、絵画の彩色に広く使われるようになった。「影の色」や「(太陽光を表す)黄色の補色」としてこの色を多用した印象派の画家たちは「ヴァイオレットマニア」と呼ばれた。
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TikTokで『366日ヨーロッパの伝統色図鑑』ショート動画を公開中!
@pie_art_book 【素敵な宝石の色を知ってる?】宝石とその色にまつわる逸話や伝説【366日ヨーロッパの伝統色図鑑】 ヨーロッパの伝統色図鑑は、2024年12月13日発売!! #アート解説 #アート #伝説 #歴史解説 #雑学 #宝石 #色 #伝統 #tiktok教室 #パイインターナショナル
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ギフトブックとしてもおすすめです。装幀のキラリと光る箔押しが素敵なので書店で見かけたらぜひお手に取ってご覧ください。