渡部愛さんの将棋が好き
もう観る将になってから20年以上になるけど、なかなか好きな将棋の棋士っていませんでした。もともとアマチュアの頃は女流棋士ファンでしたし、観戦記者になってから特定の棋士に思い入れを抱かないようにしていたので、特にこの人の将棋が好き!と強烈に思うこともなく。
最近はようやく仕事として将棋にふれることも少なくなったので、自分の原点に戻って女流棋士の将棋を楽しく見ています。中井広恵さんや本田小百合さんの自然で余計な力をかけない王道の将棋が好きですし、戦法でいえば伊奈川愛菓さんや貞升南さんが好き。最近では加藤圭さんの将棋が大好きです。女流棋士は居飛車党が少ないので(といっても多いんだけど)なかなかこれ!という人には出会えませんでした。たとえば清水さん矢内さん伊藤さんなんかは自分のスタイルで戦う印象が強く、千葉さんやマリカさんのようにツボにはまると鋭い人も自分とは違う強い個性を持っています。わたしの目指す居飛車の攻め将棋でいえばカンナさんなんかもそうだけど、硬い王様で戦うイメージで自分と違う…加藤桃子さんも好きだけど…… なんというか、自分と違う世界の人って感じがするんです。きれいなショーケースに展示された洋服を見て「きれーい」って憧れるような。あるいはこんな部屋に住んでみたいねーって言いながら見てるけどちっとも実感わかない住宅のショールームみたいな。すごいんだけど住む世界が違う!
そんな中で渡部愛さんの将棋はわたしの理想の将棋です。男性を含めた全棋士含めて一番理想の将棋です。こういう服を着たかった!こういう家に住んで、こういう旅をして、こういう生き方をしたかった!みたいな将棋なんです。
居飛車党の攻め将棋だから好き、というわけでもなく、初めて彼女の将棋を見たのはまだ中学か高校の頃、女子アマの全国大会の決勝かなにかで指していた振り飛車の将棋でした。美濃囲いでした。キレイできっぷがよくてわたしが憧れるような無駄のない鋭い寄せをする将棋に一目惚れしました。だから戦法は関係ないんだと思います。なんでこんなに好きなのか理由がわからないのですが、特に好きなのは踏み込んでいく瞬間とか、攻め合いをしている愛さんです。
最近では随分中継されるようになって、ファンとして日々の活力をもらっています。愛さんのような連珠の棋譜を残したい!と本気で思っています(笑)。
久しぶりの大舞台である白玲戦では対局姿も中継されていて本当にありがたい。プレイヤーにとっては勝ち負けももちろん大事ですが、自分の将棋ができたか、自分らしく戦えたかというのが結構メンタルにくるはずで、愛さんらしい攻め合いにならないときはとてもツライはずです。でも感想戦では気丈に振る舞ってて…泣ける。残りの対局、晴れやかに戦いきったと思えるような対局になりますように。ファンとしては存在そのものがありがたいので、勝敗は気にならないんです。むしろ彼女らしく戦えるかどうかを祈るばかりです……!
(我ながらなんなんだこの記事はw)
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