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ありのままの子どもと向き合い見えてきたもの、『自由と本当の願い』

PIECESが行う、子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するオンラインプログラムCitizenship for Children。

修了生達はどのような思いで参加し、プログラムを通してどのようなことを感じたのか、インタビューを行いました。

Citizenship for Children(以下、CforC)。
子どもの心の孤立の解消をミッションに掲げるNPO法人PIECESが行う、地域の市民性を醸成するプログラムです。子どもの日常にかかわる人たちの市民性の醸成・エンパワメントを通じて、自分の身近な地域や子どもたちに対して柔軟で主体的なアクションが生まれる土壌づくりを行っています。

今回の話し手は、CforC2022修了生のまやさん。
聴き手・ライティングは、CforC2023修了生のひろみぃーです。

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CforC参加のきっかけ

 「大人の理想の『子ども像』から外れると大人を困らせる『困った子』として子どもが扱われることもあります。そんな大人の目が気になり、大人に注意されないか気にして、子どもが本音を言えなくなることも…。子どもが子こどものまま、ありのままでいられることは大事」とCforC2022修了生のまやさん。

 身近で子ども達の自死の話を耳にすると、『家庭や学校以外で自分の本音を言える場所が必要なんじゃないか?』と思い、日頃からネットで【女子高校生 場所】 で検索するようになったそうです。

ネットのブログの記事に『 CforC 』を見つけ、『専門家じゃない いち市民でも子どもにできることがある』という所に惹かれ、「自分でもできることがあるんじゃないか?そして、同じことを考える人とも出会えそう」と思い参加を決めたようです。

プログラム中に感じたこと・印象に残っていること・変化したこと

 CforC の『リフレクション(※1)』というワークの時に自分の『正解の枠』を外すことができた経験をされたそうです。
 (※1「リフレクション」は、自分の言動や行動を客観的に振り返ることを指します。CforCのリフレクションでは実際にあった子供を取り巻く出来事をチームで客観的に振り返るワークです。)

まやさん(以下、まや):「子ども自身は困ってないけど、大人から見て困った状況を何とかしようと大人はしてしまう。大人が子どもを問題視したことで『問題のある子』となってしまうことがある。だけれど、大人が問題にしたところで子ども本人が前に進めるかと言ったら そうではない。本人がどう思い感じるかが大切

その気づきから、まやさん自身にも変化があったようです。

まや:「以前は正解らしきことを発言したい私がいたけど 、このリフレクションをきっかけに発言する時の『違ったなということを、自分の気づきだな』と肯定的にとらえられるようになりました。発言する時の怖さも減りました」

 「人によって違う見方や意見を聞いていると、物事には一つの正解はなく、多様な側面があることに気づきました。優柔不断だと思ってた自分自身のことも、色んな見え方があることを聞けて受け止められる性格なのだと肯定してあげれるようになりました。自分がありのままでいたら、周りもありのままでいられるように思います。」

 リフレクションで子どもの見え方・とらえ方が人によって多様なこと、本人の気づきが大切なことがわかることで、まやさん自身も『正解』を言わなければなければならないという囚われから自由になり、自分なりの気づきを大切に、ありのままを受け止められるようになったそうです。

アクションサポートに進んだきっかけと気づき  

まや:CforC を受けて、「市民である私だから、専門家じゃないからこそ子どもに寄り添えるものがあると思いました。このまま背中を押してもらって行動をおこしたい!とアクションサポート(※3)を受けることを決めました。アクションサポートを受ける中で、『自分が持っていなくても知っていることも資源』ということにも気づくことができたし、今までは気にもとめていなかった身近な街の資源を再発見することもできました。
(※3「アクションサポート」とは、CforC2022を修了したあとに具体的な実践のプロジェクトを自身で考え、実現させていくコース。スタッフの伴走や、参加者同士の対話の機会がありました。)

アクションサポートで感じたこと・印象に残っていること

 当初まやさんは、中高生向けに居場所をつくりたかったそうですが、アクションサポートの課題で『ペルソナ(※4)』を考えることで、子どもと子どもに関わる大人も対象にした居場所に変更したようです。それは、今の子育て環境は親が気軽に本音を言える安心安全な環境が少ないと日常的に感じていたからとのことでした。
(※ 4「ペルソナ」とは、マーケティングや商品開発における、「ターゲット設定」の1つ。)
 
 まやさんは保育園の事務の仕事をされていますが、園に通う保護者を見ていて「子育て中の保護者が、親や会社の役職としてでなく人として自分のことを話せる時間や場が少ない」と感じていたようです。

 まやさんの『居場所』ではNVC(※5)も活用されています。
(※5 NVCとは、Nonviolent Communicationの略称で「非暴力コミュニケーション」や「共感的コミュニケーション」と訳されることもあるコミュニケーションのひとつの手法。『人の感情の奥には願いがある』という 考え方で、感情から自分の本当の願いにつながる手法)

まや:私は自分の『こうしたい』という思いを素直に伝えるのがうまくなく、ついつい後回しにしがちな自分自身のこと、願い、感情を表現できる安心安全な場所があったらいいなあと思うことがありました。自分を犠牲にしてでも家族に尽くす母親を理想の姿と思い込み、私が勝手に自分自身の本音や願いを表現することに抵抗を覚えることも…。

 忙しさの中で、お母さんが自分のことを後回しにし続けることで、イライラがたまり子どもに「ちゃんと掃除したの?ちゃんと宿題やったの?!」と強く叱りすぎることもあったり…。
『これは私の思いであって、子どもが悪い訳ではない 』と頭の片隅ではわかっていても、親子の距離感が近すぎて子どもへ怒りが沸いてくることもあります。

 NVCを用いると、そんなお母さんの『子どもにちゃんとさせたい』という理想は『自分の子供が愛されるようになってほしい』などの自分自身の願いからだとわかります。ありのままの思いを安心して出せる場所があると、本当の願いに気づき自分を取り戻せます
 
子どもは人と人の関係性の中で育ちます家族の誰かが緩めば、そこに子どもの居場所ができます

プログラムが修了して振り返って今思うこと

 まや:やっぱり、中高生に自分の本音を言える場をもっと届けたい気持ちもあります。自分よりちょっとお姉さんで、 先輩や後輩などの立場を気にせず、話をできる人が近くにいる事って大事なんじゃないかな。立場ではなく同じいち市民の『人と人』で向き合うからありのままの本音が言えます。

 居場所で出会った中学生がバスの中で声をかけ合ったの。覚えてくれていた事が嬉しかった。その人といない時でも『どうしてるかな?』と思い出せる存在があること。自分がそう思えたら、相手も同じく思ってくれてるんじゃないかと思える。

 本音が言える、その人がありのままで居られる関係性や居場所。そんなつながりは大人も子ども関係なく必要なもの。CforCで学んだ市民性『自分を認め、違いを認め合える柔軟で優しいあり方』をまやさんは今も大切にされています。

自分を認め、自分と違う他者も認め合える。そして一緒に居なくても、その人の幸せを願える関係性。そんな優しい関係性のある日常。
 CforCで、市民として、自分として、そんな優しい関り方がある事に気づき、暮らしの中で居場所を通してそんな優しさに包まれているまやさんなのでした。

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語り手:CforC2022修了生 まや
聴き手・ライティング:CforC2023修了生 ひろみぃー


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