鏡のように在ることで繋がる未来 #わたしとPIECES
みなさんこんにちは。
PIECESでプロボノをしています。坂本しおりです。
まだPIECESに関わり始めてから、1ヶ月くらい。
そんななか#わたしとPIECES というテーマでものを書くことに、ほんのちょっと、ビクビクしていますが(笑)、
関わり始めたいまの気持ちを、素直にみなさまに伝えられたらと思っています。
熊本の中心部で「公立高校のなかに塾をつくる」
わたしは、2020年3月末までの約2年、熊本県の甲佐町という九州の(地理的に)ど真ん中―清らかで美しい川の流れと、なだらかな山際が眼に映り、夜にはカエルの声と満天の星空、そして縁もゆかりもない外様のわたしを、大きな愛で包み込んでくれるひとびとのいる町 で「公立高校のなかに塾をつくる」という仕事をしていました。
きっと想像しがたい仕事だと思いますが、子どもたちのこころと未来を第一に想う先生方と、名声よりも子どもたちの幸福を優先順位とする役場の職員さんと、驚くほどなんのしがらみもなく(笑)、
塾というハコを使って、
生徒の今日と未来のしあわせのために何ができるのか、
ということにみんなで取り組んでいた2年だったと捉えています。
福岡市の中心部で育ち、大学進学を期に関西へ、新卒で東京へ出たわたしは「地方格差」や「教育格差」と呼ばれるものを体感していました。
大学生活を送っていた大阪で、もう就職活動を終えるひとも出てきたタイミングで、帰省して友人に会えば「もうすぐ就職活動はじまるね」という話題になったこともありました。
東京の高校生が自分の生活圏で自然と出会っている音楽、職業、食べ物、アート、ファッションといった様々な文化に、わたしは自身の生活圏では出会うことができませんでした。
いろんな地域で、いろんなつながりを持たせてもらったわたしが熊本に行けば、なにかしら貢献できるかもしれない。
そんな想いを持って、熊本に向かいました。
ひとのしあわせを考えて行動できる生徒たち
初めて学校の敷地に足を踏み入れた日、校舎の3階から「はじめまして〜!」と大声で手を振り、緊張をほぐしてくれた生徒。
「いま◯◯と話したいんでしょ?僕、急ぎじゃないから、先にいいよ。」と口に出していない気持ちも読み取り、行動に移す生徒。
運動会で、脱げた靴を置き去りにゴールまで向かった同級生に、靴を自主的に届ける生徒。
ほんとうに素敵なところが一人ひとりにあって、ひとや自分のしあわせを考えられて、行動ができるという以上に、なにを求めるのか。と、毎日のように思っていました。
だから「みんな、生きてるだけでえらい。すごい。すばらしい。ありがとう。会えて嬉しい。」と、語彙を失ったオタクのように伝えました。(わたしは生徒のファンであるとともに、スピッツのオタクです)(どーでもええ)
だれも、わるくないのに
そんな生徒たちのなかには、
アルファベットが覚えられない生徒もいました。
経済的な事情で、大学進学を断念する生徒もいました。
「先生が選んだ仕事にする」と自ら選択することを諦める生徒もいました。
だれも、わるくないのです。
生徒もまいにち、できる範囲の努力とともに、ひとにやさしく生きていて、
保護者のみなさんも働き、それに加えてひとを育てるという大きなことをしていて、
先生方も、集団授業の中でも、生徒個々に合わせた対応をすべく、一人ひとりとコミュニケーションを取り、ときには企業へ訪問に行きどうにか就職先を探していて、
それでも、痛みを抱えて過ごすひとが、事実いるのです。
PIECESのかかげる 優しい「間」
たとえば「子どもの支援」とひとえに言っても、背景に貧困、発達の遅れ、いじめ、家庭内暴力などさまざまなキーワードがあり、
貧困の先にまた、賃金格差やワーキングプア、非正規雇用、ひとり親家庭、たくさんのキーワードが絡み合いながら存在しています。
熊本で過ごした時間、なにをすれば、それらをどう解決できるのか、もうそれが起きなくなるのか、考えましたが、わたしはまだ答えを持っていません。
ただ、思い返せば、
紙と鉛筆を、ホワイトボードと水性ペンに持ち替え、学びが進んだ生徒がいて、
関わり合いを続ける中で、夢を語ってくれるようになった生徒、
家でも学校でもなくて、受け止めてくれるから話せることがあるんですと言ってくれた生徒がいました。
目の前の生徒の優しさを、鏡のようにうつして、そこにただ存在し、
自分ができる範囲で関わりを持つことによって、繋がった未来もあったのかもしれない、と思っていますし、
そうして生徒と関わり合いを持てたことで、わたしの未来も広がっていった、と感じています。
そんなわたしの過ごしてきた日々と、いまわたしのできること、とが
PIECESの掲げる「市民性醸成」や「優しい間(ま)」にリンクし、
ああ、この取り組みが広がることで、しあわせになるひとがいるはずだ、
ゆるやかな確信を持って、関わらせていただいている今日です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
坂本しおり
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