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PasocomMini PC-8801mkIISR

PasocomMini PC-8801mkIISR

つい先日、八月八日にPasocomMini PC-8801mkIISRの発表があった。今年の春にベーマガの読者イベントにて明かされていたPasocomMini PC-8801mkIISRの正式な発表で、実際の発売へ向けての追加情報だった。春のサプライズ発表の時点で過去ハル研究所から開発、発売されたPasocomMiniシリーズ、すなわちPasocomMini MZ-80CとPasocomMini PC-8001/PCG model8100の流れをくむ製品で、ハル研究所が一度は開発を断念したものを電波新聞社のマイコンソフトに持ち込まれ発売されることになったプロジェクトということだった。今回の詳細情報はいつ発売されるかや価格も知らさせされ、そして細かい構成の全てとは言わないまでにしても大まかなことは分かったのだろうと思う。

この発表で価格はズバリというか明確に30,000円となった。これが高いか安いかであるが、ホビー製品としては悪くない価格だと思っている。過去ハル研究所が発売したPasocomMiniシリーズそれぞれ、PasocomMini MZ-80Cの19,800円、PasocomMini PC-8001/PCG model8100のセットが24,800円となると順当な価格と思える。PasocomMini PC-8001単体販売は行われず、NECの40周年記念モデルとしてLAVIEの限定モデルに同梱された。手に入れるにはLAVIEを予約して買うしかなった。本来は多分、単体、というかPCG付きのモデルがハル研究所から発売予定があったのだろうが、NECとのやりとりでそのようなことになったのではないだろうか。そして別販売のPasocomMini PCG8100が2,480円ということを考えると、発売されていた二つのモデルは同じような値段、PasocomMini PC-8001も19,800円程度の単体発売価格だったのだろうと推測できる。それも踏まえて考えれば今回の値段も特に逸脱したとも思えず至極順当だ。

今回のモデルのことを考えると、Z80というかZ80A互換で同じような構成というのもあるだろうが、それでもMZ-80CやPC-8001よりは複雑だ。それらも単純だとは言わないが、今回はサウンドボードIIも含め複雑化しているのは当然だ。前回のモデルがRaspberry Pi Zero WHを採用しているとアナウンスされているので今回もそれを踏襲するのかと考えていたがその点は明かされていない。Raspberry Piの違うボードを使うのか、メガドライブミニやX68000 Zといった瑞起製品が同社のZ7213(=Allwinner R16)SoCを使ったように、何らかのSoCを使った専用ボードになるのかは分からない。しかし過去ハル研究所が開発していたことを考えるとRaspberry Piの新たなボードを使うのが順当だなと考える。そういう情報が出てくるかは分からないが、待つもの楽しい。

PC-8801mkIISR

ふと考えてみるとノスタルジー以外でどうしてそういうものに目が向くのか答えがないのだろうか、人によっては技術的な関心もあるだろうし、やり残したことがあるのかもしれない。また、機能美や当時の設計や性能の妙に触れたいという人もいるのだろう。私は今回PasocomMini PC-8801mkIISRが公言された場にいたわけでもないし、その後そういうレトロPCを熱心に追いかけているわけでもなかった。普通に情報として入ってくるものに気が向けば追うくらいだ。しかし今回はPC-8801mk IISRとなると熱くなるものはある。そして顧みればそれはなんだろうと思ってしまう。私とマイコンの出会いはやはり時代と書籍、ショップだった。私が初期に読んでいた四大マイコン雑誌、そして幸運にも地元にあり行ってい小さいマイコンショップともいえぬオフィス関連電気店、そこにはPET 2001とMZ-80KとCが置いてあり、最新のAtari 800には触れられなかった、若しくは触らなかったのかもしれない。そいう店で自由に触らせてもらえる幸運もあったし、街には家電量販店もあった。

家電量販店はラジカセやオーディオなどを見る場所であり、最初はそうでもなかったが、あるころから一角にマイコンコーナーが設置され始め、PC-8001やベーシックマスターなどはそこで初めて触った。そういう影響もあったが最初に買ってもらったのは、インプリンティングともいえなくもないMZ-80K2Eで、それでずいぶん遊んだ。そのころのBASICはSP-5030だったが、以前から街のショップでSP-5010、20を使ってテープにプログラムを保存していたのでそれを動かしたり、雑誌の記事に書いてあるさまざまなことに挑戦した。ハードも含めて。そしてたった何年か経つだけで時代が変わってゆく、それがフロッピーディスクだった。フロッピーディスクは早さという点で夢の記憶媒体だったが、価格も夢の話だった。だが、海外ではApple IIは本体をドライブを載せている写真が当たり前のようにあった、そしてすぐにそれがやってきたのがPC-8801mkIIだった。どうにか買ってもらって憶えているのはベーシックマスターの存在を知っていたとしても、世界がマイコンからパソコンに変わったような、そんな感じがした。多分システムソフト製のデモはフロッピーだからこその出来ばえで、ROMベーシックもDiskベーシックも動くので最高だった。

だが有頂天でPC-8801mkIIの世界を甘受していたらさらにすごいものが降ってきた。それがPC-8801mkIISRだった。PC-8801mkIIを持っているのになにが変わったのかという人もいただろうが、私には青天の霹靂で、どうにも世界が変わったように感じた。そして幸いにも当時はパソコンの下取り交換販売みたいなものも多く、すぐに上手に買い替えることができたのだ。なにがなんだか分からないうちに買い替えたので当時の友達は不思議に思っていたようで、今となっては私が憶えていなくても、あの決断は素晴らしかったと振り返り繰り返し教えてくれる。それが私のPC-8801mkIISRの始まりで、それから様々なことを教わった。それは人間として今いるということも含め、本当にさまざまなことを教わったのだ。もちろんPC-8801mkIISRだけではなく、それに付随するいろいろなものからも含めてという意味だ。そうして現在を迎えて思うのは、ノスタルジーでもいいなということだ。それにPasocomMiniには例えばクイックコマンドリファレンスのようなものもあり、老人の新たな学習でもいいじゃないとも思う。

PasocomMini

今回もアオシマが筐体部分の制作を担当しているが、年月が経ってみて思うのは、発売済みのMZ-80Cや、PC-8001もそうだが、今回のPC-8801mkIISRのデザインの素晴らしさだ。一度程度くらいしか試しの縦置きはしたことはなかったが、あの部分の再現もいい。濃いファンが多いX68000ユーザーからX68000 Zが出た後に、話題としてよく最高のデザインとか聞いたが、それにも遜色のないと言える別のデザインだ。それはPETを模していると思われるMZや、機能美として完成された8001も同様だ。エッジがい効いているX68000のデザインも素晴らしいと思うが、他のデザインに比べ優れている部分もあるというだけで突出しているとは感じない。それは今回のPC-8801mkIISRのデザインを見れば、それまでに出た国産マイコン、パソコンのデザインを再評価してみれば再認識できると思う。X68000は使っていたのである意味日常に埋没していたいのかもしれない。それも含めて再評価するのは楽しいことだ。

今回の発表の日、当時からの友達とのやりとりでPasocomMiniがどうしても一瞬パソピアミニに見えてしまうという話をしたら、彼は自分の買いたいものがあるとすればMac PlusかMZ-2500かということだった。ハル研究所の初期ラインナップにはFM-7があったようだが、初期ラインナップのことを考えればFM-7(8)よりも、やはりベーシックマスターを入れるべきだと思う。ベーシックマスターレベル2とレベル2 IIを含むベーシックマスターで、石が違うから変だけど切り替えでレベル3もあればいい。レベル3は別物かな。初期ラインナップの話ではないが、中身がRaspberry Pi Zero WHと同等以降のようならば、本体はアオシマが作る外側ともいえる。もちろんこれは暴論で、中身のソフトウェア、どう実現し、それにどうプラスアルファをするか、それが重要だと思っている。クイックコマンドリファレンスのようなものも含めてできることはあるはずだ。だからこそシリーズ化してほしい。上記のベーシックマスターもそうだが、MZ-2500も欲しいのだ。テープのギミックを見てみたい。

昔のコンピュータのことについては書き足りないことはたくさんある、MZ-80のベーシック以外のクリーンコンピュータとしての言語など、そんな楽しかったこととか、88にだって、それ以降も同様だ。それに実際は老人の新たな学習はMSX3に期待している。それはパワーも含めて上から下までそろっていそうだからだ。西和彦氏の存在も大きい。私はASCIIの創刊号の言葉が忘れられないのだ。書くにしても考えるにしても全く足りない。もっと書けばいいし、もっと考えればいい、だが時間は有限だ。しかしなぜかその無力感の一部が楽しいことでもある。そう考えれば時間を作って様々なことができればいいなと思う。



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