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進化と不幸 - 水月雨 Space Travel

もう一年以上前になるが、結果的にではあるが"拾う神 - TWS結果的に長期レビュー"という形で、これまでの不遇がなかったような、そんな日々を過ごせるようになり、思ったよりも時間が過ぎていたことを書いた。使っているTWSはその時点で一年近く使用していたので、現在ではは二年以上使用していることになる。Haylou GT1はバッテリの保ちの問題があったが、時間が経つにつれバッテリの保ち時間が短くなってきた。今は本当に二時間は保たない。そしてペアリング先のタブレットを新しいものに変えたところ、接続が不安定になってきたりもした。そういうこともあるので次にスマホの機種変更に際し、Haylou GT1はPCなどに使うような半引退への道に、そしてスマホで使用しているQCY T17を新しくしたタブレットに、そして新しいTWSをスマホに下ろそうということにした。

実は上に書いた時点で買ったままのHaylou GT1 Plusは温存していて、そのうえ新たにQCY T17のグレーというかライトブルーも買ってしまった。前者は書いた通りHaylou GT1が壊れてすぐに注文したもので、それが配送される前に壊れたのと同じGT1を買いそちらを使っていた、だからGT1 Plusは使わずに温存状態になったのだ。後者はあまりにもQCY T17が私にフィットしたので、色違いが欲しくなり買ったもの。そして今回新しくと考えてみても、それら手持ちの未使用のものを使うのには新鮮味がない、GT1 PlusはGT1とは多少違うが似たようなものといえば似たようなものだし、実は買ったまま持て余していたので必要としていた人にあげてしまった。GT1 PlusはaptX対応だったので、その意味で是非使用したいと思っていたのだけど、ただ持っているだけでは意味がないので必要としている人に譲渡した。QCY T17のライトブルーは今もある。

Space Travel

新鮮味がないと考えると、やっぱり新しいものがいいなと思ってしまうが、実はもう新しいTWSを買っていた。それはある時に水月雨 (MOONDROP)というブランドのSpace Travelというイヤフォンが目に留まり、それが私がよく買う価格帯ということもあって、つい買ってしまった。なぜ、つい買ってしまったという表現になるかというと、少しの問題があったということだ。私は普段は黒は好まず、白や色付きを買いたい人間であり、そしてそのSpace Travelにも白はあった。だが、私が目に留め欲しくなったSpace Travelは珍しく黒で、ケースも含め、独特の意匠でそこが特に気に入ったのだ。その姿は誰も賛同はしないと思うが、私にとってはなぜか真空管を思わせる佇まいで、美しく温かいイメージなのだ。

だが、もう一つそれ以上に私に合わない部分があった。それは耳からうどんを出す問題だ。私はTWSを購入するにあたって、耳からうどんを出すタイプは選びたくないし、選ばない。それはそれを滑稽だと考えているからで、そしてそれを機能美の視点でもあり得ないと思ってしまう。だが、そのSpace Travelは耳からうどんを出すタイプで、美を感じられないそれを買うという自問があった、しかし私は、その総合的な意匠の素晴らしさ、そこに一番惹かれて惹かれて、それが自答となった。そしてそれとまだ聞いていない音の評判のよさにも期待していて、つい買ってしまったのだ。自分でも少し信じられないことだ。

水月雨 (MOONDROP)

水月雨 (MOONDROP)というブランドのことだが、このSpace Travelに出会うまではまったく知らないブランドだった。普段から価格帯の低いものばかり探しているし、上記のように安定期が続いていて物欲的にも視野は広がっていなかった。調べてみると水月雨 (MOONDROP)は中国のイヤフォンブランドで、高品質で低価格なイヤフォンを販売しているという話。独自のドライバーを採用していて、それが高音質の原動力ということになるのだろうか。そしてそれらが独自のデザインや洗練された意匠も特徴のようで、私の今回のSpace Travelも同様の魅力が決定の決め手だった。

そして高価格帯のものもあり、それらのモデルもおおよそ評判がよく、高品質ですばらしい音質を実現しているようだ。私には無縁の価格帯だが、最初に調べている時に水月雨 (MOONDROP)を検索すれば、同時にその価格帯のものが表示されていたので驚きもした。そしてそれらもすべてデザインが洗練されていて高級感がある。小手先のデザインのまとめ方という感じではなく、見ただけで製品自体の高品質を感じるようなものだ。低価格路線ばかりしか見ていなかった私でも、使ってみたいなと思うような美しさだ。

そしてもう一つ特徴がある。それはパッケージデザインだ。私はどういうものかはよく分からないが、日本の漫画風というかアニメ風というか、そういうイラストが描かれている。私は同時に同ブランドでワイヤードの低価格イヤフォン、竹 - CHU IIという機種も買っていて、先に届いていたのだが、パッケージは同様だった。そのパッケージのイラストはよく分からない私にもなにかの和みというか、伝わるものがある。それをブランドを通してやっているというのも面白い。そしてこのブランドはイヤフォンだけではなく、オーバーイヤーのヘッドフォンや、USB-DAC兼ポータブルヘッドフォンアンプも出している。DACは使ってみたいが、買うとなると競合は多そうだ。

ローンチのうどん

ということで、スマホを新しくしたことを機として期待と不安が入り混じるSpace Travelをローンチした。ケースとイヤフォンそのものは美しく、置いているだけで気分がいい。しかし、ここにも落とし穴があった。ケースの充電ケーブルを差すのがケースの底ということなのだ。それだと充電するときは寝かせるという、美しさもなにもあったものではない状態になる。大したことではないが、ちょっとした不満である。また、装着感の話だが、全く問題はない。しかし私はイヤーピースを気にしない人間だったが、最近は気にするようにもなってきた。今ままでは付属のイヤーピースでも大きさを選べば不満はなかった、だが新たに変更という選択肢も考えている。もっとフィット感が欲しいとか、音の違いというものも含め、イヤピの話を友人としたというのもある。過去の話をすると長くなるので閑話休題。

装着して鏡を見て耳からうどん状態を確認してみたが、やはりいいものではない。しかし、これはそれ以上のことが毎日とは言わないまでも、初日から大きな問題として起きる。私はメインでの使用は屋外だ。しかも密閉された乗り物とかではなく散歩を含む屋外が大部分を占めるということだ。そして初日は風の強い日だった。結果うどんのおかげで風切り音が酷く、イヤフォンからの音が聞こえない。今までこんなことはなかったので愕然とした。海の近くを歩くので風の強い日が多いというのも一つだし、今までうどんが嫌で耳に収まるタイプのものばかり使っていた、だからこれまではそういうことを認識することがなかった。身体の風切り音はあったが、イヤフォンそのものの風切り音、しかもこんなに大きな音は予想外だった。ワイヤードのケーブルノイズでも経験したことのない音だ。

他の使用感はケースから出してペアリングをするときに、音ではなく音声で反応があるのも面白い。ケースから出し装着した頃に、コネクティッドと、とてもかわいい声でペアリングのアナウンスされる。水月雨 (MOONDROP)のオリジナルキャラクター水月ゆきさんのオリジナルボイスということらしいが、パッケージに描いてあるキャラクターなのだろうか。しかもANCをオンにしたときに、しーっと言うのがさらにかわいらしい。そうだ、一切触れてはなかったが、この機種はANCを搭載している。これに関しては驚いた。"ヘッドフォン結果的にそこそこ長期"にも書いて使っているオーバーイヤータイプのヘッドフォン、OneOdio A30のおまけANCとは違い、ちゃんとANCの効果がある。どちらにしろANCは使わないのだが。

上質とANC

音について思うのは簡単で、私のようななにも分からないバカ耳と毎回バカみたいに同じ話を書いているが、それもあって一定以上の音が鳴れば満足してしまう。もちろんそれぞれの楽器の細やかな響きや余韻など、際立つような解像度やどの音域がより聞きたいか、そして力強さなどもあるが、基本的にBluetoothということもあり、そこまで音質を追及したいとは思わない。ワイヤードのものなら底なし沼のようになるのかもしれないが、私の場合、それでもある程度で十分だ。まあ単なる費用対効果ということで、あふれるほどの費用があれば選びつくすのかもしれないが、時間は有限なのでそれも限界はあるだろう。簡単にいうとBluetoothなので機能面とのバランス、そしてお金がなく、時間もない中で十分なものは十分ということだ。

私がQCY T17やHaylou GT1を使っていて十分だと感じていたということがそうだが、このSpace Travelはそれらよりも音質は上だと感じる。値段はそんなに変わらないが、ひとつ上の音に聞こえるのだ。細かくは分からないが、以前、"旅の終着点 - EDIFIER X3"として書いたEDIFIER X3よりも上質に感じる。終着点と書きながら短命だったのも面白いが、それも比べてこの価格帯においてこれ以上はないのではと思える音がでていると感じている。そして私は利用しないが、ANCを利用していてもそんなに破綻のない音になっているのも驚いた。またモバイルアプリケーションを入れると音質というか、イコライザー設定ができる。プレリセットの三つから選ぶ方式で初期設定のReferenceと、低音域が強調されるBasshead、そしてフラット感のあるMonitorがある。わたしという人間の場合、なんでもデフォルトというタイプが基本なのだが、これはMonitorが一番しっくりくる。Referenceも悪くないが、やっぱりMonitorが一番いい。Bassheadは私には論外だ。

進化と不幸

Space Travelという名前からも分かるように、宇宙旅行からデザインの着想を得ているのだろう。特に白は宇宙ロケットの白であり、宇宙服の白だと思ってしまう。また、別売りの革のケースがカッコよく、白を買うのなら買っていたと思う。私の印象では黒は真空管と感じたと書いたが、宇宙を前提に見つめてみると漆黒中の月というイメージもわいてくる。そういう面でデザインの進化というか、コンセプトを持つというものの楽しさを感じた。自分の嫌う耳からうどんでも、それが原動力となり買ってしまったし、そこには満足している。そしてANCにも進化を感じているところだ。この価格帯である程度以上の効果のあるANCが付いているとは思わなかった。私はANCは使わないから知らなかっただけかもしれないが、このANCにはANCのオンとオフ、そのほかに外の音を取り込むもモードもあり、合わせて三つのモードがあるのも初体験だった。

いつも私は使わないが、ゲームモードなどの低遅延のモードもあるし、機能的にも十分だ。だからこそ耳から出ているうどんのおかげで生ずる風切り音が残念でしかたない。使い始めて一か月弱は経つ現在では、時々ある風の強いときに違和感を感じる程度で済んでいるが、上記のように海の近くを歩くことが多いので、初日のことを思うと冬が心配なのだ。うどんの見た目もそうだがそこは不幸といえる。ただ、このうどんタイプが数多くある現実を見れば、Bluetoothのアンテナ的な役割でもあるのかなと思ってしまう。それでも耳に収まるタイプばかり使ってきた身からすればなんの不具合もなかったので、どうなのかなと思い、やっぱり不幸だなと思ってしまう。重ねて言うことになるが、本当に冬は心配なのだ。





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