拾う神 - TWS結果的に長期レビュー
あの苦汁の日々がなんだったんだというくらい安定した日々を暮らしている。新しいスタンダードとして書いたQCY T17と、Haylou GT1 Plusを注文したままになっていたこと、そして実はHaylou GT1 Plusが届く前にまたHaylou GT1に手を出しているということも触れてはなく、今はそれぞれが結果的に現時点において長期レビューできる状態となっている。
そして深化だけではなく少しだけ変化もしているのでそれを書きたいと思う。どちらもそれぞれ一年とは言わないまでも、少なくとも十か月以上は毎日必ず使用し続けていて、その上で感じることだ。それは注文して届いたHaylou GT1 Plusの箱を空けることもなく保存している事実も含む。
Haylou GT1
あの時はすぐに壊れてしまったので結局は初期インプレッションのまま止まっていた。それがGT1 Plusが配送されるより先に同じGT1を買ってしまったという変化があった。同じものだから変化とは言わないのかも知れないが、同じGT1だが新しいものだと言うだけので、しかも壊れてないというのには意味がある。
だが変化でも実質は"GT1そのもの"なので、印象では"わや - TWS"に書いたこととあまり変わりはしない。だが気づいた部分もある。第一に感じたのはバッテリの保ちで、当時インプレッション時に書いた頃は気づきにくかった。理由はそれ以前に使っていたTWSがことごとく不具合に散っていった中、そのような視界の中で過去の満足していたもの、不満だらけだったもの、そういうものと比較していたということ、そういう意味で経験値という蓄積が圧倒的に足りず、だから当時は普通に保つ程度のバッテリだと思っていた。
実際は現在も使用していてそんなに不満は感じない、だが、他方では絶対的に容量が少ないとも感じることもある。それはQCY T17という外出時に使っている"新しいスタンダード"が出現したからに他ならない。しかも、Haylou GT1は家のタブレットでメインに使っていて、PC以外で何かをするときは大体タブレットを使っている。だからとにかく使用頻度は高く、ほぼいつも海外ドラマや映画を見たり音楽を聞いたりしているのだ。
さらにその感覚を加速させているのは寝るときにも使用しているということだ。容易に寝られない私は寝る薬を飲み、ネルチルと名づけた寝るためのチルアウトを聞きながら落ち着いて休むようにしている。その頻度、それがたまにクラシックのプレイリストだったりする場合、リスト的にとても長時間になってしまうこともある。そうすると気づくのは次の朝だとしてもバッテリのことは目立ってしまう。寝てるから意味はないのだが、それらも踏まえ冷静に考えてもやはりバッテリ容量は足りないという印象にたどり着く。
Haylou GT1のバッテリーの公称数値は三時間前後だったろうか、だが使用していると感じるのは長期使用となって日も重ねているせいか、最近は二時間強がいいところだと感じる。もう少し保つ場合もある気もするし、現時点ではほとんどの使用において足りているのだが、他のものを知ってしまった結果、上には上がいるという現実とのギャップを感じるのである。
次に感じたのは音の問題で、基本的に音にはとても満足している。同価格帯の機種として感じた部分だが、それを思えばパーフェクトに近いと言っても過言ではない、それは大前提だ。しかし長期に使っていて感じるのは解像度の部分、それがもう少し明瞭であってもいい。全体的に少し解像度が低いような印象を受ける。ほんの少しの問題で、他の同価格帯の素晴らしいイヤフォンと比べればという前提だ。こればかりは好みもあるし難しい問題だ。だが低価格TWSの音としてはかなりいいものだと思う、ただ比較対象が他にあり、好みもあり一長一短だが、他の機種にアドバンテージを感じる部分もある。
もうひとつ細かいことを言えばフィット感も少し物足りなく感じてしまった。小さく耳への収まりはいいのだが、その小ささ故に寝て使用しているとズレることがよくある、これは寝ていて枕の存在もあるという使用方法の問題でもあり、大した問題でもない。私があまりこだわりの少ないイヤーピースの問題かもしれない。ただ、位置を直そうとするとタッチセンサが反応してしまうというのはとても不満だ。
QCY T17
QCYは左右有線のBluetoothイヤフォンの頃から信頼していて使っていたが、最近ではその左右有線で国内購入のQY19Proと、私が初めて買ったQCYのTWS、QCY T1Cに裏切られた形になっていた。それらは個体差の問題かもしれないので、それまでの経緯からQCYのブランドに信頼は残っていた。忠実なファンというわけではないが、やはりそれまで使ってきたQCYのBluetoothイヤフォンには音以前の全体的な安定感を評価していた。そこでT17を買った、これは私にとって前回書いたような新しいスタンダードとなった。その時もある程度の時間は使用して評価したつもりだが、今はもう遥かに時間が経ち評価も積み重ねている、そんな話だ。
T17の場合、長期使用の感想も簡単で新しいスタンダードというのは全く間違ってなかったということになる。ただ長期使用で目を見張ったのはやはりバッテリがよく保つということで、私はケースは持ち歩かずイヤフォン単体での時間がとても重要になる。公称は八時間弱らしいが、私の使用では最低でも五時間は保っている、それ以上の時間を連続して使ったことがないからだ。この使用時間の長さは私の過去所有したどのBluetoothイヤフォン、ヘッドフォンよりも長い。
これは利便性の上で大きい。大きさは他のものと同じように、または他のものよりも比べても、小さい。その理由を考えるとやっぱりBluetoothのチップセットの省電力なのだろうか。またマイナス面の広大な場所でなぜか途切れるというのも今も変わらない。これもチップセット等の影響か、若しくはケータイ基地局等の電波の影響なのか、若しくはそれらのすべてか、もしかすれば個体差や相性の問題かもしれないし、現時点では分からない。
実は今までのTWSの壊れるばかりの歴史があるので、この安心感と今までのQCYのブランドからT17の色違いを買っている。だがまだそれは使ってない、壊れてないし他のものもあるから使う場所もないのだ。
なんだろう
こうして長期間使ってみても初期の評価とそう違わない。基本的に毎日使うものだから最初から使用頻度は高いのだろう。ただ変わったのは壊れなかったというのいが大きく、それゆえに初めての長期使用となった、それだけだ。何かを信じて続けてきたわけでもない、ただ幸運が、いや、ただの当たり前がやっと降ってきた、捨てる神あれば拾う神ありである。
価格帯もあるだろうが、音に関しては耳の肥えている人には満足できない製品かもしれない、しかし音の分からない私にはこれで十分だ。有線の多少高価なダイナミックドライブと複数のバランスドアーマチュアを搭載したものを使ってもいるし、過去リケーブルできない高価なものを使っていて断線したものもある。しかしある程度以上になると、それはもう音の作りの問題だと思うようになってきた、作る好みに聞く好みである。そしてある程度以上からは絶対的に足りないものがあるとは思えないのだ。もちろんここでいう"ある程度"が問題なのだろう。
見知らぬハイエンドの高価格帯は経験したことがないから見えない、いや、聞こえない音が聞こえてくるものだという評価があるのも分かるしあり得ると思う、しかし費用対効果としてどこまでかと考えると、過去の経験を踏まえ十分鳴っていると感じるものでいいのではないかと思っている。だからそれは好みなのだろう。確かに自分的に高価なものを使ったときの、あの聞こえていなかった音が聞こえた時は衝撃だったし、レベルの違いを感じたこともある。しかし使い続けて思うのは、それだけではダメで、どこまでのチューニングをするかにもよるのだろうなということ。敏感さではないが、どこまで敏感でいればいいのか、それは一概には言えず難しい。だからこそ好みのもの探す旅に出るしかないのだろう。
あれ、逆に数々の連続して壊れていた苦行はその旅へ水を向けられていたということなのだろうか、いやいやいや、そうじゃない、いやそうなのかな。なんだろう。この帰結。人間はなんでも起こった事象にこころの部分をこじつけて理解しようとしてしまう。と、ドライに考えたとしても、やっぱり新しい旅へのいざないだった。そう考えることにしていよう、また次はやってくるだろうしね。