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春の星

柔い日差しをかなしいと思う。雪が溶ければ、冬のたのしい思い出たちが流れて、あたたかで不安な春がやってくるから。
ぬるい日差し、それはあなたを傷つける朝の日差し。微熱、こわい夢、冷たい鼻先。
穏やかな日差し、それは私の身体を抱く冷たい腕。ハイヒールに靴擦れした踵、寝覚めの涙一匙。
柔い日差しは淋しいと思う。雪が溶けても、わたしはあなたを愛し、春になればあなたは私を愛さない。
けれども春はまだ来ない。あなたは冷たくなったわたしを抱いて、冬に眠る。目が覚めれば、きっと私を春へ連れていく。

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