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コガネムシの包容力

駅に向かう途中の道端に、甕で水草とメダカを育てているお宅があります。
先日その中に、一匹のコガネムシを見つけました。
水から上がろうともがいていますが、細い肢では水をかいて前進することもできません。

同じ場所でひたすら肢を動かすコガネムシを救い出すために、人差し指を差し出してみました。
怖がられるかな、と心配しましたが、そのコガネムシは何の警戒心もなく、「渡りに船」とばかりに、人差し指に細い6本の肢を絡めました。
そして、キューッとしがみつきました。

「怖かったよう、死ぬかと思ったよう」

そう言っているようでした。
そして、こんなに小さな虫でもこんなに存在感のあるしがみつき方をするのかと、驚きました。

しばらくしがみついた状態で息を整えてもらった後、甕から離れた草の葉の上に降りてもらいました。
そして、「水には注意をしてください、くれぐれも」と念押しして、駅へ向かいました。

自宅周辺には、コガネムシがたくさんいます。
春先、我が家のプランターの土を入れ替えようとしたら、コガネムシの幼虫が8匹も眠っていました。

そうして冬を越した幼虫たちが眠りから覚めて羽を手に入れると、近くの林へ、隣近所の花壇へと飛び回ります。

中には、何かの間違いで室内に入ってきて、ブンブン飛び回ることもあります。
夜中にブンブン飛び始めて、障子にぶつかり、その音で飛び起きることもあります。
いやな寝覚めです。
電気をつけるまで、何が飛んでいるのか分からないので冷や汗が出ます。
いずれにせよ、人騒がせな虫です。


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