~町のホテルよりも快適 ~中央カラハリのブッシュでキャンプ
初のアフリカの旅は、南アフリカの都市・ラステンバーグから陸路でボツワナへ入り、セントラル・カラハリ動物保護区を車で北上した後、東へ向かって南下し、南アのラステンバーグに帰るという行程だ。走行距離はざっと2000km。これを6泊7日でやってのける。自分で立てた計画ではないから、どんな旅になるのか想像もつかない。
旅の始まりは関西空港から。香港経由で南アのヨハネスブルグへ飛び、ラステンバーグへは車で約200km。この町に、今回、ガイドを務めてくれるアーチーの家はある。
広い敷地には、母屋とゲストハウス、納屋、ニワトリ小屋があり、その周囲には広大な牧場があり、国立公園に放すために、インパラやスプリングボックなどを飼育している。
母屋の横にはすでに、2台のランドクルーザーと、食糧や水を積んだコンテナが1台、用意されていた。コンテナを曳く車両にはアーチーと4人のゲストが乗り、もう1台の車両は日本から来たガイド氏が運転し、ゲスト1人が同乗する。そう告げられた。
荷物を積み込み、出発の準備は整った。が、問題が発生した。私たちが利用する予定だったボツワナ側のイミグレーションがストライキで閉鎖されたため、そこから200kmほど離れた別のイミグレーションを利用しなければならなくなったのだ。
当初の行程でも時間がないというのに、遠回りをしなくてはならないとは前途多難の幕開けだ。しかも、道路はほとんど舗装されていない悪路。乾季の未舗装道路のドライブは劣悪で、前方を車が走っていようものなら、ホワイトアウトさながらの砂埃が舞い、3m先さえも見えやしない。
そんな道を、アーチーときたら窓全開で突っ走るものだから、砂埃が車内に舞い込み、喉がおかしくなってしまった。
口元をタオルで抑えつつ窓の外に見たのは、黒人居住区だ。トタンと板を組み合わせただけ、あるいはブロックを重ねただけの粗末で小さな小屋が並んでいた。
時々、学校らしき建物があり、通り沿いにパラソルを立てて箱を並べて、飲み物や野菜を売る人の姿もあった。
道行く女性はみんなおしゃれで、黒い肌に白や濃い青の服が映えていた。日本では持つのが恥ずかしい白い日傘も、彼女らが差すとカッコいい。
少年は、黒い半ズボンに派手な色合いのチェックシャツ、足元はパテントのローファーといういでたちで、そのスタイルはサプールさながらだ。
さて、そんなドライブも夕暮れ前には無事終わり、予定通り、クッツェ動物保護区のゲート手前に到着。この日は、そこでキャンプをすることになった。
まずは、それぞれの車体とコンテナの上に取り付けられた、ルーフテントを設営する。その作業はとても簡単で、ファスナーを開けてはしごをおろせば、ほぼ完成だ。あとは、窓を開けるなりなんなりすれば、快適な空間に早変わりする。床面はクッションだから、マットは不要。シュラフだけで寝心地も快適だ。
ファスナーは開けるのは簡単だが閉めにくいので、収納作業の方が時間はかかったが、それでも今まで経験したテントの中で、もっとも設営・収納が簡単で、居心地もよかった。
最初、この旅行で7泊のうち5泊がキャンプだと知った時は、体力的にキツイ、と不安だった。しかし、いざ、やってみると、むしろずっとキャンプしていたい、と思えたほどだ。
欧州の人々は、アフリカでサファリを満喫するために、さまざまな道具の開発に注力してきたという。その結果が、この快適さ。アメリカのアウトドアメーカーと比べものにならないほど使い勝手がいい。
アウトドアのアイテムは、アフリカで買うに限る。
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