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短編 | 運命の赤い糸③


前話はこちら(↓)



「優奈さん、緊張してる?リラックスしてね」

 私は確かに緊張していた。ここへ来る前は、半信半疑ながらも、「どんな男子と赤い糸で結ばれているのだろう?」という気持ちで緊張していた。しかし、今はそれよりも、こんなにきれいな亜伽里さんというお姉さんの前にいることに緊張していた。亜伽里さんの目に吸い込まれてしまいそうだ。

「ありがとうございます」と言おうとしたが、声が出なかった。私にできたのは、うなずくことだけだった。

「だいぶ緊張しているようね。私のはね、占いなんだけど、占いじゃないのよ。優奈さんの話を聞いて、あなたにも気がついていないあなたの大切な人を思い浮かべてもらうことなの」

 どういうことなのだろう?
 深層心理を探るということなのだろうか?

「優奈さん、とりあえず一緒に深呼吸してみようか」

 亜伽里さんは、スゥーと息を吸って、フゥーとゆっくりと息をはいた。私も亜伽里さんと同じように深呼吸してみた。すると、嘘のように、さっきまでの緊張感がとけた。
 私の表情を見た亜伽里さんは、ふふふと笑った。私もつられて、ふふふと笑ってしまった。

「ははは。どうやら緊張感がとけたようね。じゃあ、さっそく始めましょうか?」

 私はなんとも言えない恍惚感に包まれた。


…つづく



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山根あきら | 妄想哲学者
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします