短編 | 運命の赤い糸⑥
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運命の赤い糸⑥
月曜日になった。今日もし信吾くんと二人きりになる瞬間があったら、勇気を出して私の気持ちを伝えよう。
「優奈、おはよう」
校門の前で沙耶に会った。
「おはよう、沙耶」
普段どおりに挨拶を交わしたつもりだった。
「あれ?優奈、もしかして少し緊張してる?」
「え?なんで?いつもと変わらないよ」
「ふぅ~ん、そっかぁ」
沙耶はなにか言いたげだったが、ふふふと返事をした。
「優奈、亜伽里さんの真似をしてる?とりあえず、今日もがんばろう!」
普段と違うのは、沙耶のほうだ。たぶん、私がだれにコクるのか気になっているのだろう。沙耶のことだから、告白の応援をしてくれるだろうけど、私は一対一で信吾くんに気持ちを伝えたかった。
今日は一日中そわそわしていた。となりのクラスにいる信吾くんのことがいつも以上に気になった。昼休みも遠目に信吾くんを見た。けれど、二人きりになれそうになかった。
そのまま放課後になった。
「沙耶、一緒に帰ろう」
「ごめん、優奈。今日は急いで帰らなくちゃならないの」
「そうなの?なにか…」
私の言葉を最後まで聞くことなく、沙耶はそのまま、駆け足で校門から出ていってしまった。
取り残された私は、1人でゆっくり帰ることにした。「今日はそういう日なんだろうな」と思いながら、私は歩き出した。
いつものように交差点を曲がったところで、「優奈!」という声を聞いた。振り向くと、そこには、信吾くんが立っていた。
「オレ、優奈が好きだから」
…つづく
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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします