短編 | 運命の赤い糸②
前話はこちら(↓)
金曜日の放課後、私と沙耶は『コネクター』へ向かった。
「なんかドキドキする」
「優奈、大丈夫よ。亜伽里さんは優しい人だからね。とっても物静かで、すごくきれいなお姉さんなのよ」
運命の赤い糸。私はどの男子と結ばれているんだろう?
知りたいような、知りたくないような。思いがけない名前が出てくるかもしれない。それとも、誰とも結ばれていないかもしれない。占いなんて信じていないのに、言い様のないドキドキが止まらなかった。
「優奈、緊張してるの?」
「うん、ちょっとね。赤い糸ってホントにあるのかしら?」
「それを確かめるために『コネクター』に行くんだよね。なんやかんやで、優奈も信じているのね、占い」
「うん、信じてはいないけど。でも、沙耶のときは当たってるから」
「あっ、見えてきた。あのお店よ」
沙耶が『コネクター』を指さした。それは路地裏の隅っこにあった。
「じゃあ、入ろうか?」
沙耶が先に店の中に入った。私は沙耶の後ろについていった。
「こんにちは。亜伽里さん。今日は友だちの優奈を占ってもらいにきました」
「うわぁ、とてもきれいな人!」
声には出なかったが、それが亜伽里さんに対する私の第一印象だった。
「こんにちは、優奈さん。今日はよろしくね」
「はじめまして。こんにちは。優奈です。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
「じゃあ、さっそく占いましょうか。そこに腰をおろしてね。沙耶さんは、あの部屋で待っててね」
沙耶はニコッと笑って別室に入った。私は亜伽里さんの前にすわった。二人きりになった。
…つづく
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